≪千葉あおり運転・殺人未遂≫「失うものはねえ!」と前の車にぶつけ、運転手をはね、引きずり…逮捕の男はサービスエリアで働く「物静かな子」
千葉県長生郡長柄町の路上で、あおり運転の末に会社員のAさん(30)を車ではね、腕をつかんだまま引きずるなどして重傷を負わせたとして、千葉県警茂原署は9月7日、殺人未遂の疑いで、同県長南町の会社員・藤村拓海容疑者(25)を逮捕した。藤村容疑者は「脅しのつもりだった」などと供述し、殺意を否認している。2人に面識はなく、事件当日に偶然、前後を走っていただけだったという。
〈画像〉グシャグシャになった車、「さいたま市踏切事故」は往来危険罪で起訴。事故直後、心配そうに電話をしていた被害者と思われる男性の画像も
ガシャンガシャンとぶつかる音…頭から血を流していた被害者
事件が起きたのは8月27日午前2時ごろ。藤村容疑者は、茂原市に住むAさんが運転する車との距離を詰め、クラクションを鳴らすなどのあおり運転をしていたとされる。
社会部記者が事件の経緯を説明する。
「Aさんが車を停めて降りた後もトラブルは収まらず、藤村容疑者はAさんの車に衝突。その後、Aさんをはね、ボンネットに乗り上げた状態でも車を走らせるなど、複数回にわたって車を衝突させたとされています。
さらにAさんの右手を運転席からつかんだまま車を後退させて引きずり、道路脇の側溝に転倒させたとされています。その後、藤村容疑者は現場から逃走。防犯カメラなどの捜査を経て、事件から11日後の9月7日に逮捕されました」
Aさんは肩甲骨を折るなどの重傷を負った。
事件当時、近隣に住む70代男性は、連続して鳴り響くクラクションの音で目を覚ましたという。
「現場から少し離れた家の中にいても、車同士がガシャンガシャンとぶつかる音や、男同士で口喧嘩をしているような声が聞こえました。車にぶつけられたAさんが向こう側の溝のようなところまで引きずられて、叫び声が響いたんです。
Aさんは頭から血を流していて、駆けつけた人が『大丈夫か』と声をかけていました。犯人がそのまま車で逃げたところも見ています。朝方には、この辺りがしばらく通行止めになっていて、お巡りさんも来ていました。ぶつけられた側の車はブルーシートに覆われた状態で残され、その後、レッカーで運ばれていました」
「失うものはねえんだー」と叫んだ藤村容疑者
藤村容疑者とAさんに接点はあったのか。Aさんの知人男性によると、2人に面識はなかったという。
「Aさんは運転手の仕事をしていて、事件当日は仕事を終え、会社で自分の車に乗り換えて茂原市内の自宅に帰るところだったようです。会社を出たあたりから、藤村容疑者の車にずっとクラクションを鳴らされながら追いかけられていたみたいです。
2人はもともと知り合いでもなんでもなくて、その日たまたまAさんの車の後ろを藤村容疑者の車が走っていただけのようです。口論になった際には、藤村容疑者が『失うものはねえんだー』みたいなことを怒鳴っていました。Aさんはこの事件で3週間の入院になっています。いつも通り仕事を終えて家に帰ろうとしていただけなのに、本当にかわいそうですよ」
事件当日の午後には、藤村容疑者が暮らす長南町の自宅周辺に複数のパトカーと警察官が集まっていた。当時の様子を目撃した男性が振り返る。
「路上に覆面パトカーが停まっていて、ビデオカメラのようなものを構えた人を含めて、警察官が8人くらいいました。その後もパトカーが4、5台やってきて、最終的には20人近くの警察官がいたと思います。このとき黒い軽自動車もレッカーで運ばれていきました」
藤村容疑者は地元の小中学校を卒業後、一度地元を離れ、20歳ごろに再び長南町へ戻ってきたという。一家を知る近隣住民はこう話す。
「拓海くんは一人っ子。背はそんなに高くなくて、170センチもなかったんじゃないかな。横幅があって、がっしりした体格でした。
今はおじいちゃん、おばあちゃんと3人で母屋に暮らしていて、お母さんと叔父さんがその隣にある建物で暮らしていたと思います。ご家族は近所付き合いが活発なほうではなく、普段から顔を合わせて話す機会もほとんどありませんでした」
地元に戻ってからは、千葉県内のサービスエリアで働いていた時期もあったという。
「2~3年で辞めたと聞いています。警察がレッカーで運んでいった黒い軽自動車は、普段から拓海くんが乗っていた車です。運転している姿も見かけていましたが、荒い運転をするような印象はありませんでした。だから事件を知ったときは、『え? あの物静かな子が?』と思いましたよ」(同)
増える妨害運転…“踏切事件”で逮捕されたJAF職員は往来危険罪で起訴
近隣との目立ったトラブルもなく、「物静かな子だった」という藤村容疑者。一方、車の運転をめぐるトラブルが重大事件に発展したケースは、今回だけではない。
8月18日には、さいたま市岩槻区の東武野田線の踏切で、前を走っていた車が踏切を通過した直後、出口付近で停車。後続の50代男性の車が踏切内に取り残され、列車と衝突する事故が起きた。男性は衝突前に車外へ逃れ、けがはなかった。
埼玉県警は翌19日、前方の車を運転していたJAF職員の加藤研一容疑者(52)を殺人未遂容疑で逮捕した。加藤容疑者は殺意を否認。その後、さいたま地検は9月8日、殺人未遂ではなく往来危険罪で加藤容疑者を起訴した。
「加藤被告は逮捕後、『車間距離が近かったので注意するため停車させた』という趣旨の説明をしていました。今回の藤村容疑者とAさんにも、それまで面識はなかったとされています。いずれも車の走行中に起きたトラブルが、命にかかわりかねない事態にまで発展しています」(前出・社会部記者)
いわゆる「あおり運転」をめぐっては、2020年6月に施行された改正道路交通法で「妨害運転罪」が新設された。車間距離を極端に詰める、急ブレーキをかける、執拗にクラクションを鳴らすなど、他の車の通行を妨害する目的で一定の違反を行う行為が対象となる。
法務省の「令和7年版犯罪白書」によると、2024年に妨害運転で送致された事件は146件で、前年の102件から44件増加している。
藤村容疑者は警察の調べに対し、「脅しのつもりで突っ込んだり、腕をつかんで引きずったりした」と供述し、殺意については否認しているという。それまで面識のなかったAさんを、なぜ執拗に追い続けたのか。警察は事件に至った詳しい経緯や動機について調べている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
