ずっと我慢してたんだ…「年金月18万円」68歳の元高校教師、わずか1年で「貯金1,500万円」を失った理由に教え子も唖然
「退職金や十分な年金があれば、老後資金は安泰」と安心していませんか。長年の我慢の反動や退職後の開放感から、わずか1年で巨額の貯蓄を失ってしまうケースは珍しくありません。本記事では、ある元教師の過度な散財事例をきっかけに、定年後の資金計画の重要性と、老後破綻を防ぐための具体的なポイントを解説します。
元教師の妻「ずっと我慢していた。もう我慢したくない」
「退職金もあるし、年金も20万円近くある。これなら何とかなると思っていました」
都立高校の教師として働いていた佐伯浩一さん(68歳・仮名)。現在、東京都郊外、30年前に購入した戸建てで、妻の真紀さん(64歳・仮名)と2人暮らしです。
定年時、退職金含む預貯金から1,800万円を残し、残りの3,000万円は運用にまわりました。現在、佐伯さんの年金は月18万円。手取りにすると、月16万円強です。持ち家で、贅沢をしなければ月の生活費は年金だけで賄うことができる--何の問題もないはずでした。
ところが、退職から半年ほどたったころ、真紀さんがこう言いました。
「ずっと我慢していました。あなたは仕事ばかりで、旅行も外食も、何か買うことも全部後回しだった」
佐伯さんは反論できませんでした。教師時代は休日も部活動や学校行事で埋まり、家族旅行は地方の実家に帰るだけ。真紀さんが欲しいと言った車も、「まだ乗れる」と先送りしてきたからです。
夫婦はまず、国産の新車を購入しました。約350万円でした。
続いて、国内旅行を月1回のペースで行くようになりました。さらに、真紀さんは以前から希望していたキッチンのリフォームを提案しました。
「今さら節約して、いつ使うの? お金を残して、何になるの?」
工事費は約280万円でした。
佐伯さん自身も、退職後に教え子たちとの食事会へ頻繁に参加するようになりました。1回あたりの支出は数千円でも、交通費や二次会を含めると月5万円近くになることもありました。
「先生、退職したんだから、もっと楽しんでくださいよ」
そう言われるたび、佐伯さんは財布を開きました。
気づけば、通帳残高は300万円…
総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、実収入が月25万4,395円である一方、支出は29万6,829円。平均でも月約4万2,000円の赤字です。
佐伯さん夫婦の場合、その赤字をはるかに超える金額が貯金から出ていきました。
車、旅行、リフォームに加え、家電の買い替えや外食--1年間、欲望のままお金を使った結果、貯蓄は1,800万円から約300万円まで減っていました。
「まさか、こんなに使っているとは思わなかった」
佐伯さんは、元教え子の一人にその話をしました。
「1年で1,500万円が消えてね--」
「えっ、詐欺ですか? 警察に相談しました?」
「いや、ちょっと散財しすぎた」
「先生、いくらなんでも、それは使いすぎですよ」
教壇に立っていたころは、「怒ると怖い先生」というイメージでやってきました。しかし、元教師になった今、あまりの散財っぷりに元教え子が唖然とする事態に。返ってきた呆れ顔の言葉に、佐伯さんは思わず苦笑するしかなかったといいます。
「でもね、妻に『ずっと我慢してた』と言われたら、『やめよう』とは言えないですよ」
とはいえ、この調子で散財を続けるわけにはいきません。旅行は年に2回に減らし、月ごとの生活費も年金内に収めることを基本としました。残った約300万円についても、医療費や住宅の修繕に備えて簡単には使わない方針です。
「使うときには使う。それはいいと思う。お金はあの世に持っていけませんし。ただ、タガが外れてしまっていた。後悔はありませんが、自分のことながら怖いですよね」
金融経済教育推進機構『金融リテラシー調査2025年』によると、老後の生活費に資金計画がない人の割合は59.9%に達します。また、同機構『家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯)』でも、老後を心配する世帯が78.2%を占める一方、実際に生活設計を立てている世帯は35.1%にとどまります。同調査では、資産が減少した理由として「耐久消費財の購入」(19.5%)や「旅行・レジャー費の支出」(17.6%)も多く挙げられています。
退職金や年金を過信せず、定年後の早い段階で具体的な収支計画を立てることが、「タガが外れた散財」で破綻させない大事なステップです。
