【柏木 理佳】「物価が安いだけで住むのはキツいかも…」日本人が憧れのマレーシア移住で直面する「大きな誤算」《GACKT、優木まおみ、菊地亜美も選んだ人気移住先》

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GACKT、優木まおみ、菊地亜美ら人気芸能人も選んだ「マレーシア移住」。

物価の安さが最大のメリットだが、日本人にとっては難しい問題も少なくないという。

前編記事『《GACKT、優木まおみ、菊地亜美…人気芸能人が続々移住》なぜ日本人は「マレーシア移住」に惹かれてしまうのか…「知られざる魅力」』に続き、生活経済ジャーナリスト・柏木理佳氏がマレーシア移住のデメリットについて解説する。

イスラム教の理解が必要な場面も

いくら海外旅行に慣れている人でも、日本人は宗教に疎い。特にイスラム教への理解は遅れている。筆者も15か国の人と働いた経験があるが、他国の人もイスラム教のマレー人に対しては、かなり気を使って接していた。

シンガポールからマレーシアに定住しようと考えていても、1年で帰国してしまう人もいる。

その理由としては、まずは、イスラム教への理解である。

マレーシアは多民族国家だけに、独自のハラスメントの法律もあり、日本人駐在員も加害者になってしまった例も多々ある。

例えば、マレーシアでは、オフィスの中で、座っている部下の頭をなでてはいけない。頭は神聖な場所で子どもに対しても頭をなでることはタブーである。

マレーシア刑法は厳しく、侮辱する言葉やジェスチャーを行った場合、通報され、最長5年の懲役、または罰金、またはその両方が科せられることもある。

インド系社員が「マレー人は全員愚かだ」と発言し解雇されたこともある。

また、通信・マルチメディア法としても不適切、不潔、虚偽、脅迫的、または攻撃的なコンテンツを見せたり、他人を虐待、脅迫した場合などは、最大5万リンギ(196万7500円:1リンギ39.35円、8月21日現在)の罰金、最大1年の懲役、またはその両方を科せられる。

梅雨が1年続くようなイメージ

他にも注意しなければならないことは、治安である。

1人で自由に外出がしづらい。

マレーシアは車社会なので、運転手を雇ったり、自分で運転できないと、自由に外出することが少なくなる。女性が1人で流しのタクシーに乗車するのは危険で、電車でも女性専用車両をおすすめする。

観光客の多い繁華街の路上でもすり、ぼったくりなども多い。そういったことから日本人駐在員の夫に同行した妻は1人では外出を控えるようになり、うつ病っぽくなった例もあった。

次に時間の感覚である。

いっけん、ゆったり、のんびりしている習慣は、定年後の暮らしには良さそうにみえるが、バリバリと働きたいという若手キャリア系の人には、あまりに時間が止まっているようで受け入れられない人もいる。

金曜日はお祈りの時間のためランチ時間が長く、ラマダンの時期は日中、近所の店が閉まっている店も多い。サービス業や手続きが止まるので、多忙なビジネスパーソンには、スケジュールがたてられず耐えられないという人もいた。

また、一年中、高温多湿な熱帯雨林であるため、10分歩くだけで汗だくになる。スコール短時間でバケツをひっくり返したような激しい大雨のため傘は役に立たず、ほぼ毎日びしょ濡れになることもある。

GACKT など声を大事にする人には乾燥より多湿がいいだろうが、日本の梅雨の時期が苦手な人には、合わない可能性がある。日本の梅雨が1年続くようなイメージである。

長期滞在ビザの取得も厳格に

また、教育面でもイメージと違ったという日本人夫婦がいた。完成度の高い発音で英語が話せることをイメージしていたが、安いインターナショナルスクールは英語が母国語である欧米人生徒は少ない。

中国語、マレー語なども同時に学び多国籍文化や宗教を学びたい人には向いているが、あまり発音には期待できないかもしれない。

もっとも大きな誤算が、円安である。

定年後、退職金をもって、マレーシアに定住したが、その資産が3分の1減少したという人もいる。

世界的な資源価格の上昇は、エネルギー輸出国のマレーシアは、世界的にも注目されており2026年から2030年までの5カ年計画には外国企業の上場促進などもありリンギの価値が上がっている。対円に対してはリンギは28年半ぶりの高値水準になり、その分、日本円から換算するには損する。

6年前は1リンギに対して日本円は26円ほどで交換できたが、徐々に増えて現在は39円ほどになっている。

2024年から改正され長期滞在ビザも厳しくなった。90日以上滞在するには、マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)がある。これはマレーシア政府が発行する外国人向けのビザで、滞在期間などによってプラチナ、ゴールド、シルバーなどと分かれている。

定期預金は、5年滞在の場合、2500万円が必要で、20年滞在となると定期預金は1.6億円が必要となる。他にも不動産購入などの条件もある。ビザ保有者は5万8000人ほどで半分が家族、扶養者である。圧倒的に中国人が多く半数近くに増加しているが、日本人は2020年の3万人から2万人に減少している。ビザ条件が厳しくなったり、円安の影響、現地の物価が上がっていることがある。

円安の今は、日本で地方移住くらいがいいだろう。

欧米に留学するよりも安いかもしれないが、多言語、多文化に慣れるかどうか、物価高は許容範囲かどうか……まずは、3カ月間の短期ビザで試してみるのをおススメする。

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