「まんが王国」会員の訪問数が3割減少 「comico」もサービス終了で電子コミック業界に異変の兆し
電子書籍サービス「まんが王国」の2026年4月から6月の月間アクティブユーザー数が、前年同期比で3割近く減少した。まんが王国を運営する株式会社ビーグリーは14日、2026年12月期の売上予想を、従来よりも約1割引き下げた。ユーザー数の減少が続いていることを理由に挙げている。
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「まんが王国」は2006年からサービスを開始し、累計会員数が900万人を超える国内最大級のコミック配信サービスだ。無料作品を数多く取りそろえており、それを入り口に幅広いユーザーを獲得してきた。しかし、運営元のビーグリーは足元ではマーケティングへと軸足を移し、ユーザーの定着などに注力している。
出版科学研究所によると、国内のコミック販売額は2018年以降増加傾向にあったが、2025年の市場規模は前年比1.7%減の6925億円だった。電子コミックの販売額は5273億円で2.9%増加しているものの、紙のコミックの販売額をカバーして全体を押し上げるほどの力強さはなかった。
「鬼滅の刃」の大ヒット、コロナ禍による巣ごもり特需などを背景に、2020年のコミック販売額は23.0%増の6126億円へと大幅に伸長した。その余波もあって市場は拡大していたが、臨界点を迎えたようにも見える。
電子書籍配信サイト「コミックシーモア」のNTTソルマーレは、2026年3月期の最終利益が前年同期比で4割近く減少。めちゃコミックは2026年3月期に341億円もの最終赤字を出している。
漫画サービスの「頭打ち」鮮明に
そんな中、今月には漫画「comico」が来年1月にサービスを終了すると発表した。「comico」は2013年に配信を開始したアプリで、当初から連載していたマンガ「ReLIFE」はシリーズ累計発行部数200万部を突破、2016年にアニメ化されている。
「comico」はスマートフォンに最適化したサービスを一貫して提供しており、縦スクロール、デジタル演出などを早くから取り入れていた。「WEBTOON」の基本形を日本で示した先駆的なプラットフォームだった。
WEBTOONとは、韓国で誕生したデジタル漫画の表示形式。縦スクロールで漫画を読める形式で、多彩な演出を盛り込めると注目を集めた。日本のマンガは読むものという感覚が根強かったが、WEBTOONの登場により、漫画を手軽に読み進める形式が広がった。スマホになじんだライトユーザーに最適なプラットフォームだと見られていたのだ。
しかし、セガサミーHDとパピレスの合弁会社でWEBTOON形式の漫画サービス「ZETooN」を展開していたJadeComiXは、2026年7月15日の取締役会で解散することを決議。WEBTOONに力を入れていたtaskeyやSORAJIMAなどのスタートアップも少年漫画レーベルを立ち上げるなど、事業の多角化を図る動きも見られる。
国産WEBTOON単体での収益化は、難しさが鮮明になりつつある。
爆発的に伸びていた市場が頭打ちを迎える様子は、モバイルゲーム業界を彷彿(ほうふつ)とさせる。モバイルゲームはサイバーエージェントやMIXI、ディー・エヌ・エーなどの企業を躍進させるきっかけを作り、数々のスタートアップが上場する礎を築いた分野だ。
しかし、足元では市場の鈍化が見え始め、ゲーム会社の多くは巨額の開発予算が必要な一方、ヒットの不確実性が高まるという苛烈な時代を迎えている。gumiやアカツキなど、ハイリスクな自社IPの開発を見直す動きも加速している。
国内の市場拡大に合わせて、数々の電子コミックサービスが誕生した。今後は再編や淘汰(とうた)の時代が始まるのかもしれない。
文/不破聡 内外タイムス

