脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「一冊の本が、あなたの人生を変える理由」を公開した。動画では、毎日大量に消費されるインターネット上の情報と「本」の決定的な違いについて触れ、なぜ本を読むことが人生を変えるきっかけになるのか、その理由を語っている。

茂木氏はまず自身の経験則として、「インターネット上の情報は毎日接しているが、1冊の本ほどには自分の人生を変えない」と明言。本を読むと新しい世界が開け、生き方や考え方が変わる一方で、ネットニュースやSNS上のトレンドなどをいくら読み込んでも、人生を変えるきっかけにはならないと指摘した。

その理由の1つ目として「著者の思い」を挙げる。約10万文字に及ぶ1冊の本を世に出すまでに、著者は膨大な時間をかけ、自身の人生や思想を凝縮させている。茂木氏はそれを「生き物のシグナルとして強い」と表現し、途方もない元手がかけられているからこそ、読者に届くのだと説明した。

2つ目の理由は、本が「アテンション・エコノミー」に属していない点だ。ネット上の文章は、バズりや炎上を狙って人々の注意を一時的に惹きつけることを目的としがちである。茂木氏はこの現状を「どん底への競争」と危惧し、クオリティの低い方向へ安易に流れる構造を批判。ネットのバズりは一時的なものであり、5年や10年経てば意味が分からなくなると一蹴した。対して、古典と呼ばれるような本は、何十年、何百年経っても人々を引きつける価値を持ち続けていると対比させた。

実例としてジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を挙げ、その「凄まじい密度と賢さ」はネットでバズらせることは到底不可能だと語った茂木氏。最後に「本を読むと人生変わるよ」「ネットを見ていても人生はあまり変わらない」と視聴者に呼びかけ、情報が溢れる現代だからこそ、自身の奥底に寄り添う一冊の本と向き合うことの意義を強調して動画を締めくくった。

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