フェラーリ・アマルフィ スパイダーをいち早く海外試乗|ローマ スパイダーからの進化点は?
【画像】より洗練され、よりスポーティーになったアマルフィ スパイダー(写真14点)
改めて陽光の下で対面したアマルフィ スパイダーのデザインは、”La Dolce Vita”を謳ったエモーショナルなローマに対して、シンプルさやクリーンさが前面に押し出されていると感じられた。敢えて目ヂカラで表情を作らない、無機質とも言えるクールな印象は、最近のフェラーリに共通するもので、あのローマからずいぶんうまく雰囲気を違えてきたなと改めて感心させられる。
インテリアの景色も、やはりこれまでとはまったく異なる。一番の注目点と言えば物理スイッチへの回帰だろう。使いやすさもそうだが、スタートボタンやステアリングスイッチの類は、触れること自体が喜びのはずであり、この変更、あるいは回帰に反対という人は、きっと皆無に違いない。
デザインはデュアルコクピット的な演出が更に強調され、センターディスプレイは他のモデルと同様の横型に。シフトセレクターやキーフォブ用のスロットはアルミ削り出しのセンターブリッジに置かれている。ローマのインテリアがふたりの世界だったとすれば、アマルフィは2人それぞれのための世界が構築されているようにも思えた。
走り出して、まず好印象を抱いたのは快適性の高さだった。サスペンションは決してソフトなわけではないはずだが、舗装の荒れたところでも適度なストローク感とともに入力を丸め、しなやかな乗り心地をもたらしている。「スポーツカーにしては」という前置詞抜きで、乗り心地は上々だ。
高いボディ剛性も、その一因であることは間違いない。実際、クローズ時とオープン時で、剛性感について大きな差を実感することはなかったのである。
異なるのは開放感、そして風の巻き込みということになるが、アマルフィ スパイダーにはローマ スパイダーと同様に、後席バックレスト内蔵の可動式ディフレクターが用意されており、これを展開させれば巻き込みは想像以上に抑えられる。特に日本の速度域であれば、高速道路でのオープンエアドライビングも十分にエンジョイできるはずだ。
各部の軽量化、制御系の一新、ターボチャージャーの最高回転数の引き上げなどによって、ローマに対して20cv増の最高出力640cvを得たV型8気筒4.0・ツインターボエンジンは、ピックアップがより鋭さを増した印象で、ピーキーなわけではなく右足の動きにまさにジャストで追従。パワー、トルクともに不満などあるはずはなく、刺激的なダッシュと伸びを楽しめる。
その際に奏でられるエグゾーストサウンドは従来よりも炸裂感が抑えられ、粒の揃った伸びやかさが前面に出ている。主に、厳しさを増す騒音規制に対応するための変化だが、個人的には却って気持ちの良いサウンド、もといノートが楽しめるアマルフィの方が好みだと感じられた。
この時代にあって敢えて搭載された、電動化の助けを借りないピュアな内燃エンジンのこうした旨味を存分に堪能できるのは、優れたシャシーあってこそ。街中や高速道路で快適な乗り心地をもたらしたサスペンションは、ワインディングロードに入れば優れたロードホールディングに貢献していて、無類の安心感の下にペースを上げていくことができる。

