随州博物館で仮想現実(VR)コンテンツ「青銅時代を越えて 曾侯乙との出会い」を体験する記者。(武漢=新華社記者/熊翔鶴)

 【新華社武漢8月7日】夏休みシーズンに入り、中国では各種文化施設や博物館が大勢の来場者でにぎわっている。フランス・ロレーヌ大学の学生アスマさんは、フランス人学生夏期探究学習旅行団の一員として6月中旬から中国の旅をスタート。西安、北京、上海など各地を巡り、博物館を訪ね歩いた。

 7月末には湖北省随州市を訪れ、随州博物館で仮想現実(VR)コンテンツ「青銅時代を越えて 曾侯乙(そこういつ)との出会い」を体験した。「VRゴーグルを装着すると、まるで本物の歴史に触れられるかのよう。歩きながらさまざまな文化財の3D映像を鑑賞でき、双方向性にも満ちている。今回の旅は、貴重な学びの機会となった」と感嘆した。

 団に同行した中国人学生の王松塬(おう・しょうげん)さんは、新しいデジタル体験が従来の博物館巡りとは大きく異なっていると強調。「青銅器を間近に観察できるだけでなく、編鐘(へんしょう=古代の打楽器)に触れることも可能。叩けばいにしえの音色が響き、時空を超えた共鳴を感じられる」と語った。

随州博物館を見学に訪れた、フランス人大学生夏期探究学習旅行団。(武漢=新華社記者/熊翔鶴)

 随州市は豊かな歴史を誇り、曾侯乙編鐘をはじめとする重要な青銅器が大量に出土したことから、「中国の編鐘の里」と呼ばれている。2025年4月には、「随州曾侯乙編鐘」の文献遺産が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録された。随州博物館は同年10月のリニューアルオープンの際に、新たなVR体験コンテンツを導入。千年の間封印されていた曾国の歴史が観光客の目の前に再現した。

 テクノロジーを生かした文化施設・博物館の革新的な試みは、決して珍しいものではない。ここ数年、デジタル・スマート技術が急速に発展するにつれ、人工知能(AI)など最先端のデジタル技術が文化施設・博物館で広く応用されている。文化財のデジタル映像をより高精度に収集することは、考古学研究や文化財の保護・修復に役立つだけでなく、展示解説や見学体験の充実にも貢献している。

随州博物館の裸眼3D大型スクリーン。(武漢=新華社記者/田中全)

 同省武漢市の著名観光地、黄鶴楼風景区では、最先端の拡張現実(AR)技術を活用して観光体験を豊かなものにしている。観光客は楼閣に上る前にARグラスをレンタルし、仮想と現実が融合した詩的な旅を楽しむことができる。1階の壁画「白雲黄鶴図」の前で手を叩くと絵の中から鶴が呼び出され、2階へ進むと散文「黄鶴楼記」の作者と交流ができ、手のひらを上にしてかざすと黄鶴楼の映像が浮かび上がる。3階では、李白(り・はく)や崔邕(さい・こう)など唐宋の詩人が壁画から抜け出し、黄鶴楼にまつわる作品の創作エピソードを語ってくれる。

 中国の多くの文化施設・博物館ではデジタル・スマート技術を活用により、これまでの場所や時間の制限を超えた新しい見学スタイルが生まれている。離れた場所から静かに鑑賞するだけでなく、まるでその世界に入り込んだかのような、双方向の新しい体験へ進化している。(記者/熊翔鶴、田中全)

黄鶴楼での拡張現実(AR)スマートガイド体験。(武漢=新華社配信)
随州博物館の仮想現実(VR)コンテンツ「青銅時代を越えて 曾侯乙との出会い」。(武漢=新華社配信)