【加藤 裕則】ニデック・永守重信氏に迫る「株主代表訴訟」…オリンパス事件を追及した弁護団が、ついに動いた!
「弁護団」が永守重信氏らの責任追及へ
ニデック(旧日本電産、本社・京都市)で発覚した会計不正をめぐり、大阪を拠点とする「株主の権利弁護団」が、創業者の永守重信氏(81)の責任追及に動き出す。
弁護団は、創業メンバーで元会長の小部博志氏(77)、現社長の岸田光哉氏(66)、また片山幹雄氏(68)、吉本浩之氏(58)、関潤氏(60)ら歴代社長、副会長を含む元取締役9人を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こすようニデックに求める方針を、7月30日に正式に決めた。
会社が被った損害は少なくとも50億円に上ると算定している。ニデックが提訴を拒んだ場合には、弁護団側の株主が原告となり、株主代表訴訟に踏み切る考えだ。
弁護団は8月上旬にも、ニデックへ提訴請求書を送付する。
ニデックは今春、外部の弁護士2人と公認会計士1人による「役員責任調査委員会」を設置した。
同社が2026年4月に公表した資料によると、今回の会計不正による当期利益への累積影響額は、2019年度以前から2025年度第1四半期末まででマイナス1607億円に上る。
責任調査委員会は、この期間に取締役、監査役、執行役員を務めた役員らについて、法的責任の有無を検討している。
調査結果によっては、ニデックが自ら永守氏らを提訴する可能性もある。その場合、弁護団側が会社の訴訟に参加する展開も考えられる。
オリンパス事件でも旧経営陣を追及
株主の権利弁護団が、ニデックの責任調査委員会の結論を待たずに動いたのは、第三者委員会が2026年3月に公表した中間報告と、4月に公表した最終報告によって、永守氏らの責任を問うだけの事実が裏付けられたと判断したためだ。
株主の権利弁護団は、弁護士や公認会計士らが参加し2010年6月に発足した。株主代表訴訟の提起や役員報酬の個別開示を求め、1990年代に注目された「株主オンブズマン」の流れをくむ。現在は十数人で活動しているという。
2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠し事件では、同社が旧経営陣を相手に起こした損害賠償請求訴訟に参加した。2020年には、旧経営陣に約590億円の支払いを命じる判決が確定している。
弁護団の目的は、株主の立場から経営者を監視し、企業不祥事の責任を追及することにある。訴訟に踏み切るかどうかも、株価下落によって株主が被った損失の大きさではなく、社会的な意義を重視して判断するという。
ニデックの一連の不祥事は、一企業の問題ではないと見ているわけだ。
ニデックの会計不正をめぐっては、すでに別の個人株主が会社に提訴を請求している。
そこへ、コーポレート・ガバナンスの観点から数々の企業不祥事を追及してきた株主の権利弁護団が加わることで、永守体制下の経営責任が、いよいよ本格的に問われることになる。
では、弁護団は、永守氏、小部氏、岸田氏にどのような法的責任があると判断しているのか。
後編『「永守氏は不正を知っていた」…!――熟練弁護団がニデック創業者の責任を問う根拠』では、第三者委員会の報告書と弁護団の提訴請求書をもとに、ニデックで会計不正が広がった構造と、弁護団が描く「永守体制の責任」を詳しく見ていく。

