【藤 和彦】習近平も右往左往する事態に…異常気象、そして火事に自然災害、景気低迷の中国を襲っている災難の数々
景気低迷のなか…
中国経済のコスト・プッシュ・インフレの傾向が顕著になりつつある。
7月9日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年比1.0%上昇し、9カ月連続のプラスとなった。6月半ばに米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名したものの、ガソリンなどの交通燃料が15.3%上がったことなどが主な要因だ。
同時に発表された6月の卸売物価指数(PPI)は前年比4.1%上昇。4カ月連続のプラスで、上昇率は前月の3.9%から拡大した。
上半期ベースでも、産業構造の川上と川中にあたる製品をまとめた生産財は前年に比べて2.2%上がったが、川下にあたる生活財は1.2%下落した。
中国経済は不動産バブル崩壊から5年近くが経ち、景気の低迷が続いている。
このことが災いして、最終製品企業の価格転嫁が進まず、投入コストの上昇で多くの製造業が逆ザヤに苦しんでいるのだ。
多数が命を落とす工場火災が発生
企業経営が苦しくなれば、安全衛生面の配慮がおろそかになりやすい。
そのせいだろうか、中国各地で悲惨な事故が相次いでいる。
中国福建省晋江市の靴工場で9日の正午頃、火災が発生した。工場には約239名がおり、少なくとも28人が死亡したと複数のメディアが報じている。
この事故に対し、習近平国家主席は迅速に動いた。「ここ数カ月の間に国内の生産施設で死亡事故が相次している」と指摘し、当局に責任者の厳格な追及を求めた。
だが、「モグラたたき」だけでは事態の改善は見込めない。企業経営が改善する政策を併せて実施しない限り、労働災害がさらに増えるのは確実だ。
「泣き面に蜂」なのは、中国で自然災害が多発していることだ。
対策会議を開いたが…
中国では6月以降、各地で豪雨やひょう、竜巻などの異常気象が相次いでおり、気象当局は「7月から8月にかけても極端な気象が続く」と警戒を呼びかけている。
中国共産党の最高指導部は6月30日、異例の災害対策会議を開き、洪水、台風などへの備えを強化するよう全国に指示したが、経済への打撃は避けられないだろう。
中国では電気自動車(EV)やヒト型ロボットなどのハイテク分野が活況を呈しているが、経済全体が好転する兆しが一向に見えてこない。
その理由は中国のいびつな経済構造にある。高生産性を武器に輸出で稼ぐセクターと、経済の足を引っ張る低生産性のセクターが混在しており、後者の方が依然として大きなウェー卜を占めているからだ。
不動産バブル崩壊に端を発する中国の経済不況は、相も変わらず続いている。そんななか後編『不動産バブル崩壊の末路かそれとも…中国の都市部では今、ボロボロで狭い中古マンションが爆売れしている』で見ていくように都市部を中心に新たな住宅ブームが巻き起こっていた。

