「理由なき不登校」とは?学校行かずゲームしたい子に将来の不安が...親の思い「本当は行ってほしい。フリースクールは送り迎えが必要で、不安感も強い」

とある関東圏の家庭、小学6年生の長男は不登校で、約2年間、日中は家から出ず、ゲームや動画を見て過ごしている。
【映像】小6の長男が、1日に何十時間もゲームしている様子(実際の映像)
「義務教育はなくした方がいい。自分で選べるようにしてほしい」と考える長男だが、ひとりで子育てをする母・あさみさんは、子どもの意思を尊重したい一方、「この先どうなるのだろう」といった不安も抱えている。
小中学生の不登校は現在、35万人を超え、過去最多を12年連続で更新した。同時にフリースクールやオンライン教育などの選択肢も、少しずつ広がっている。フリースクールに通う子どもの場合、人間関係や学習への不安など要因はさまざまだが、最近増えているのが「理由なき不登校」だ。
こうした傾向にSNSでは「嫌なら行かなくていい風潮が強くなった」「甘えているだけ」といった声が上がる一方、「行けない苦しさは他人からはわからない」などの声も。『ABEMA Prime』では経験者と保護者、専門家、それぞれの立場から“理由なき不登校”について考えた。
■不登校の理由

社会人の東佑丞さんは、「小学1年生から中学2年生までの約8年間、不登校だった。ずっと行けなかったわけではなく、“行ける期間”と“行けない期間”を繰り返した。自分では『なぜ行けないのか』を言語化できず、親や先生から聞かれても、原因を話せない状況だった」と振り返る。
国立大学医学部に通う中村なのはなさんは、高校時代に不登校を経験しながら、大学受験に合格した。「高校2年の5月から、行けなくなった。進学校で課題の量も多く、毎日小テストがある。文武両道を掲げる高校で『二兎を追え』とばかりに、部活もバリバリやっていた。周りに頑張っている子が多く、いま思うと自分も頑張っていたが、当時は自分の“できていない所”ばかり目について、病んでしまった」。
不登校支援の専門家である小幡和輝氏は、「僕にも不登校経験はある。学校が楽しくなくて、休みがちになったタイミングで、『なんでズルしてるんだ』といじめられて、完全に不登校になった」と明かす。
現在はフリースクールを運営しており、「これまで2000人くらいサポートしたが、理由を言語化できる子の方が少ない。共通するのは『学校が楽しくない』。今の子に増えているというより、これまでも思っている子はいたが、言えなかったのだろう」と考察する。
そして、20年前の経験と重ねつつ、「『行かない』と言っても、無理やり連れて行かれた。行かないことを肯定してくれない空気感があった。最近になって、文部科学省や社会全体が不登校を許容する空気になり、『行かなくてよくないか』という価値観が目の前にあふれてきた」と語る。
冒頭に紹介したあさみさんは、息子が不登校な理由を「楽しいことがない。コミュニケーション能力の弱さから、友だちもいない」と説明する。「本当は学校に行ってほしい。フリースクールなどにも連れ出しているが、送り迎えが必要で、不安感も強い。『ママ居て』と言われれば、仕事を休んで付き合わないといけない」。
■「先生は学校が好きでその仕事を選んだ人。不登校の気持ちは分からない」

小幡氏は「学校の先生は学校が好きでその仕事を選んだ人。不登校の気持ちは分からない」と指摘する。「僕は起業家として、学校に代わるインフラ作りをしてきた。約10年フリースクールを経営して、少しずつ社会の変化を感じる瞬間がある。学校の存在は否定しないが、学校に行かない子たちを否定してほしくない。『そういう生き方もある』と認めて、協力してもらいたい」。
“保健室登校”という選択肢もあるが、「保健室に入るまでに、いろいろな人に会ってしまうなどで行けない」ケースもあるという。東さんは「学校の友だちに知られるのが嫌だ。遅れて登校するのを近所の人に見られて、『今から行くの?』と話しかけられるのも、すごく嫌だった」と話す。
■「何のために今日を生きているの」親の思い

親としての見解はどうか。あさみさんは「自分が楽しんで学校に行っていたため、『学校いいじゃん。行きなよ』と考えるが、手や足を引きずっても絶対に行かない。『あそこなら誰々に会える』と希望があれば、生きていて楽しいが、朝起きて『何のために起きたの』『何のために今日を生きているの』という感じだ」という。
長男はゲームをしているが、「ゲームをしていても、していなくてもつらい」のが現状だ。ただ周囲の反応は「最近では『うちの子が不登校で』と言っても、『私の親戚も』『友だちの子も』というケースが増えてきた。『行かせてないんだ』という視線はさほどない」のだそうだ。
当事者だった中村さんは、周囲をどう見ていたのか。「母親は私を見て、一緒にしんどくなる。よく『子どもは自分より大切』と言うが、母も『なんとかしてあげなきゃ』となっていた。母は趣味で長い距離を走り、元々100kmのウルトラマラソンを走っていたが、私が不登校になったことを理由に、200km、300kmと伸ばそうとしている」。
教育社会学者の土井隆義氏は、「親は孤立しがちのため、親同士のネットワークや、自分の関心を持てることがあるといい。親が子どもだけを見ていると、子どももしんどくなる。親に趣味を持ってもらった方が、かえって子どもも楽になるのではないか」とアドバイスした。
(『ABEMA Prime』より)
