(イラスト:本山浩子)

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第一線で活躍する方々は、どのように気分を盛り上げ、運を引きつけているのか。大切にしているゲン担ぎや、ルーティンを聞いてみました

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<2よりつづく>

すべては本番の一瞬のために

月城かなと(俳優)

リフレッシュも兼ねて、神社へお参りに行くことが多いです。具体的な願いごとはしませんが、「気持ちを新たに頑張ろう」と思えるので、自分の中でゲン担ぎに近い意味を持っています。

何かの節目に行くというよりは、天気の良い休日に思い立ってパッと出かけ、その流れで参拝に。神社は自然が多いですし、境内に足を踏み入れると、自分の心が整理されるような気分になります。

宝塚歌劇団を退団してから約1年半、声優やドラマ出演など新たな挑戦をするなかで、インプットの量が増えました。その分、自分に戻る時間も大切にしていて。

舞台と映像作品、それぞれ異なるプレッシャーがありますが、共通して行っているのは、常に全力を出せる状態にすること。定期的な運動や休日のリフレッシュなど、すべては本番の一瞬につながっています。

つきしろ・かなと
1990年神奈川県生まれ。2009年、宝塚歌劇団に入団。21年より月組のトップスターを務め、24年7月に退団。主な出演作に、映画『白雪姫』(日本版声優)、ドラマ『キャスター』『終幕のロンド−もう二度と、会えないあなたに−』などがある

試合前は心臓の鼓動でリラックス

張本美和(卓球選手)

試合直前に行うルーティンがあります。それは、試合会場の片隅で膝を抱えてしゃがみ込み、目を閉じてじっとすることです。

このルーティンは、ある経験から生まれました。以前、ゆっくりと膝の屈伸をしていた時に気持ちが落ち着くのを感じて、そこからしゃがんで膝を抱える動作を試してみることに。すると、心臓の鼓動をしっかりと感じられて、とてもリラックスすることができました。

試合前はとても緊張してしまうため、この動作で気持ちを落ち着けることで、自分自身と向き合えるようになります。その結果、すっきりとした思考で試合に臨むことができるようになりました。

はりもと・みわ
2008年宮城県生まれ。2歳から本格的に卓球を始め、10歳でU15日本代表に選出。21年12月に開催された世界ユース卓球選手権では史上初の4冠を達成し、24年のパリオリンピックでは女子団体銀メダルを獲得。現在は木下グループ・木下アビエル神奈川で活躍中

ただ、「続ける」

逢坂剛(小説家)

わたしの長年の習慣と言えば、神保町に行くこと。幼いころから好きだった古書店街に仕事場を持ち、今も通っている。住むのではなく通うというのが大事で、これは飽きずにいつまでも好きでいられるコツでもある。ただし好きだからやっているだけだが。

結局のところ「自分ならできる」と思ってやるので、運や神仏に頼ったことはない。

初めて新人賞に応募した時には、ポストに原稿を投函した「ストン!」という音が、「合格!」と言っているように聞こえたものだ。しかしその時は落選。その後懲りずに何度も応募して、なんとかデビューできた。

もしわたしが幸運であるというのなら、ただ「続ける」ということが、その秘訣なのかもしれない。

おうさか・ごう
1943年東京都生まれ。80年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『カディスの赤い星』で86年日本冒険小説協会大賞、87年直木賞、日本推理作家協会賞を受賞。近著に『ブラック・ムーン』(小社刊)(撮影:白鳥真太郎)

ゲンはたくさん担ぎます

八嶋智人(俳優)

ゲン担ぎが好きなのか? 縛られているのか?たくさんある。

まず、スマホのカレンダーアプリで表示される《今日のラッキーカラー》。別に気にしなくてもいいのだが、見ちゃったら気になる。それを無視して、「ほら、やっぱり」となるのは避けたい。衣装は着替えるけど、下着だけは変わらない。なので、僕の下着はカラフルだ。

車で現場に行く時は、ラジオの音量は4、9、13、42などを避ける。何となく不吉でしょ?

そして道中、神社やお寺などの横を通り過ぎながら、感謝の気持ちを込めつつ、頼めることは頼んでおく。調子の良いヤツだと思われてもだ。

舞台本番に挑む時は、必ず「すべてを受け入れろ」と心に言い聞かせる。本番ではいろんなことが起こる。誰が悪いわけでもない。みんなが良い作品にしようと思っていても、アクシデントは起きてしまう。

それでも、数々のゲン担ぎのおかげか、どんな状況でも自分を俯瞰し、冷静に楽しみ、諦めもつくようになった気がする。

やしま・のりと
1970年奈良県生まれ。90年、松村武さんらと「劇団カムカムミニキーナ」を結成。以降、舞台やドラマなど多方面で幅広く活躍。1月より、ドラマ『元科捜研の主婦』にレギュラー出演。出演ドラマ『あきない世傳 金と銀3』(NHK BS)が今春放送予定