″令和の女帝″ 高市早苗首相 ″能面の笑顔″に隠された「不安と孤独」
圧勝したものの…
目を細め、口角を上げて白い歯を見せる--。就任以来、高市早苗首相(64)はメディアの前では決まってこの″作り笑い″を見せてきた。2月18日午後、首班指名を控えたひとときも、FRIDAYの呼びかけに「どうも」と答え、微笑んだ--のだが、この日はいつものような取り繕った笑顔ではない。むしろ、感情に乏しい能面のような笑顔を見せた(写真)。
2月の衆院選で戦後最多となる自民単独316議席を獲得。高市人気にあやかった新人議員も66人誕生し、党内での存在感も増した。″令和の女帝″へと邁進する高市氏だが、その笑顔の裏には数多の不安が渦巻いている。
衆院選を勝ち抜くため、食料品消費税0%の実現を「’26年度中に目指す」と明言。さらに昨年のトランプ米大統領(79)との首脳会談では、手土産とばかりに防衛費の対GDP比2%への引き上げを前倒し。「トランプ防衛費」のため、軍事品の大量購入が始まった。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。
「防衛費の増加分1兆円超を埋めるため、法人税とたばこ税の引き上げが今年4月から行われ、来年からは所得税の引き上げが実施される。3月19日に行われる日米首脳会談でトランプ大統領からさらなる注文が出てくるかもしれない。そんな状況なのに、財源が不明な食料品消費税ゼロを’27年3月までに実現できるのか。
高市さんは検討のための国民会議を立ち上げようとしているが野党が反発している。このまま揉めて、新年度予算案の成立に間に合わない、と時間切れに持ち込めれば、『私は努力したが野党が反対した』と言い張れる。たとえば全党が参加する財政金融委員会で議論すればいいのに、それはやらない。結局、ポーズだけとならなければいいが……」
昨秋の衆院答弁で、高市氏本人が「レジシステムの改修に1年以上かかる」として消費減税に反対していたのは記憶に新しい。
麻生を怒らせた提案
2月24日に、高市氏に新たな疑惑が浮上した。衆院選で当選した自民党議員全員に、総額945万円分のカタログギフトを送ったことが発覚したのだ。高市氏は「議員活動に役立つものを送ろうとしたが選ぶ時間がなかった。財源は自腹だ」と火消しに走ったが、政治資金規正法に抵触する可能性が取り沙汰されている。
懸念はほかにもある。麻生太郎副総裁(85)との間にできた亀裂だ。
「選挙翌日、高市さんは麻生さんに衆議院議長への就任を打診したそうです。議長になれば党会派や派閥を抜けねばならず、政局に口を出せなくなる。麻生さんは『誰が支えてきたのか』と不信感を募らせたといいます。麻生さんに相談なく衆議院を解散して怒らせ、議長打診で火に油を注いでしまった。もっとやりようがあったはずで、これでは恨みを買っただけではないか。
カタログギフト問題もそうだが、人付き合いがヘタな高市さんの″政局音痴″のせいで党内運営が危うくなりつつあると言われている」(時事通信社解説委員の山田惠資氏)
議長打診は小泉純一郎氏(84)が中曽根康弘元首相(享年101)に引退を迫った時以来の衝撃として永田町に広まった。
「高市さんは9月の党役員人事で麻生さんの義理の弟の鈴木俊一さん(72)を幹事長から下ろす意向だと言われている。意のままにできる人間に代えたいのだろう。最近、高市さんは党幹部からの電話にはほとんど出ないという。
周囲の話を聞き入れず、野党や党内で折衝ができるヤリ手の側近はいない。そんな中、麻生さんを切って本当に数々の難題に答えを見出せるのか」(角谷氏)
党内での孤立に、浮上した″政治とカネ″の問題。悩める高市氏が頼っているのが、過去に政治とカネで干された″旧安倍派″の幹部たちだ。
「裏金事件で処分された西村康稔(63)を選対委員長に、松野博一(63)を組織運動本部長に抜擢し、萩生田光一(62)を幹事長代行で続投させた。党内基盤は弱いが、麻生におんぶにだっこで頭が上がらないのは嫌なんだろう。しかし、説明もないまま派閥政治を復活させる姿勢に、党内からは不満の声が上がっている。
選挙の大義とした″国論を二分する政策″とは何なのか。踏み込んだ物価高対策かと思いきや、高市の口からは憲法改正の話しか出てこない。高市自身、この物価高の打開策が見つかっていないのではないか。″人気投票″で支持を得ただけに、国民の期待を裏切るようなら崩壊も早いだろう」(全国紙政治部デスク)
高市氏が国民から真の支持を得て笑う日は来るのか。真価が問われている。
『FRIDAY』2026年3月13・20日合併号より
