市村正親「学生の頃、休みの間はアルバイト。小学生で新聞配達、中学生では納豆売り。そして高校のときに神宮球場でコーラ売りをしたら、意外なことに…」
舞台、映画、ドラマにと幅広く活躍中のミュージカル俳優・市村正親さん。私生活では2人の息子の父親でもある市村さんが、日々感じていることや思い出を綴る、『婦人公論』の連載「市村正親のライフ・イズ・ビューティフル!」。第16回は「喜寿を迎えてもまだまだ動く!」です。(構成:大内弓子 撮影:小林ばく)
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お正月は家族でのんびり
2025年はずっと舞台に立っていました。『ラブ・ネバー・ダイ』『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ハリー・ポッターと呪いの子』『エノケン』で148ステージ。
さらに、ディナーショーと、帝劇コンサート『THE BEST』、ホリプロコンサート『ハピネスフォーユー』、五木ひろしさんの『五木JAM』を加えたら全部で153ステージになる。その間に映画の撮影もしていたしね。本当に大変な1年だった。
でも、12月の初めから、約1ヵ月の休みをもらいました。僕の休暇のモットーは、とにかく自分を楽しませること。
観劇4本に加え、子どもたちとも『ハリー・ポッターと呪いの子』、劇団四季の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観に行く。気になっていた映画を観て、やりたかったゴルフにも行き、忘年会にも参加して、おいしいお酒を飲んで、おいしいものを食べる。最高でしょ?

ゴルフも活力のもと!(写真提供:市村さん)
なかでも楽しみにしているのが、茨城のお宅にもらわれていったボーダー・コリーのリリーに会いに行くこと。次男が飼いたいと言い出したものの結局僕が世話していた子。縁あって別のお宅に行くことになったのだけど、やっぱり寂しくて。新しい家の前にあるドッグランで元気に走り回っているリリーに、早く会いたいね。
お正月は伊勢志摩の温泉で、ママも一緒に家族で過ごす。去年は4人で箱根へ行ったけど、いつも漫画家のヤマザキマリさんにいい温泉を教えてもらってるの。何しろ僕も映画版に出演した『テルマエ・ロマエ』の作者ですから、お風呂のことにはとっても詳しいからね。(笑)
ただ、休みだからといって、何もしないっていうことはない。そもそも学生の頃から、休みでも何かしらアルバイトをして働いていたからね。
たとえば小学生のときは新聞配達。朝は起きられないから夕刊だけだったけど、母の日に母ちゃんに何かプレゼントしたくてね。頑張って手鏡を買って渡したよ。チューリップみたいな形をした、かわいい手鏡だったな。
中学校のときは納豆売り。朝4時くらいから「なっとー、なっとなっとー」って声を上げながら売り歩くんだけど、3日目にお腹が痛くて声が出せなくなって。
道端で掃除しているおばさんに病院に行ったほうがいいって言われて行ったら、急性盲腸炎だった。それで納豆売りは終了。
ほかにも、泥を掘って赤虫を見つけて釣り道具店に売りに行ったり、くず鉄を集めて売ったりと、いろいろやってたよ。
高校のときは友だちと一緒に神宮球場でコーラ売りをしてた。これがコカ・コーラじゃなくてペプシコーラだったんだけど、だから口跡が良くなったんじゃないかって、いまだによく冗談で言うの。
だって、コカ・コーラは母音が「ア・オ」しかないけど、ペプシコーラは「ア・イ・ウ・エ・オ」全部あって、おまけに「ペ」「プ」という破裂音も、「シ」という摩擦音も入ってるからね。何が人生の役に立つかわからない。(笑)
休むのは寝てるときだけでいい
そうやって若い頃からいつも動いていたけど、歳を重ねた今はなおさら、動いていたほうがいいと思うんだ。身体を休めると筋肉が衰えてしまうからね。だから今回の休みの期間も、できる限り毎日ジムに通って、筋トレをします。
持病の変形性膝関節症には、プールのウォーキングで、しなやかな筋肉をつけるのがいいみたいなので、20分を2回くらいやって、あとはジムのマシンも使いながら筋肉を鍛える。それは休みが終わってからも続けますよ。
年明けからは、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に再登板。それに加えて、ドラマの撮影に、新作の舞台が待っている。『エノケン』がそうだったように、新作に挑戦する大変さは再演に取り組むのとは比較にならないですから、やはり相当な覚悟が必要で。もっと言えば、今年だけでなく、来年も再来年もいろいろな企画が控えているからね。
少し余裕のある2026年前半は、未来に向けての体力作りをしたいと思っているんです。喜寿になる年だけどね。そんな年にまだまだこれからがあるというのは、本当にありがたいこと。
それこそ、休むのは寝ているときだけでいいくらい頑張りたい。いつか本当に永遠に休むときが来るんだから、ぼんやりしているなんてもったいないじゃない。そう、いつかぼんやりする日が来るまでは……って映画のタイトルみたいだけど(笑)、それまではしっかり動きたいと思います。
