乃木坂46 川粼桜はなぜ愛される? 写真集『エチュード』に集まる熱視線、5期生最大のヒット作になるか
乃木坂46 川粼桜の1st写真集『エチュード』(新潮社)が、発売前から大きな注目を集めている。
(関連:【映像あり】川粼桜、『世界フィギュアスケート選手権』オープニングセレモニーでパフォーマンス を披露)
乃木坂46の写真集は安定してヒットを生んでいるが、その流れの中でも昨今は5期生が強い数字を残している。2025年1月発売の五百城茉央の1st写真集『未来の作り方』(小学館)は、「オリコン週間BOOKランキング」で1位となり、週間7万575部を記録(※1/オリコン調べ)。同じ5期生の井上和による1st写真集『モノローグ』(講談社)も初週9.2万部を売り上げ、「オリコン年間BOOKランキング」の写真集ジャンルで1位になるなど、大きな反響を呼んでいる(※2/オリコン調べ)。
■フィギュアスケート歴10年、広がり続ける活動のフィールド
2022年の加入以降、フィギュアスケートとの結びつきや選抜入り、舞台やCMへの出演など、この数年で活動の幅を広げ、次世代の中心メンバーとして存在感を高めてきた川粼。そんな彼女にとって初の写真集は、より多くの人にその魅力を届ける入口になるのは間違いないだろう。
川粼の魅力を語るうえで外せないのが、フィギュアスケートとの深い結びつきだ。幼少期から10年間打ち込んできた競技経験は、今の表現や身体の使い方の土台になっている。2023年には『世界フィギュアスケート選手権』のフジテレビ系スペシャルサポーターに就任し、さいたまスーパーアリーナで行われた氷上オープニングセレモニーでは、乃木坂46の楽曲「シンクロニシティ」に乗せてパフォーマンスを披露した。翌年以降も『全日本フィギュアスケート選手権』のフジテレビ系スペシャルサポーターを務めるなど、フィギュアスケートとアイドルというふたつのフィールドを横断する存在として認知を広げてきた。
2023年10月からは『らじらー!サンデー』(NHKラジオ第1)でレギュラーMCを務め、思いやトークを伝える役割に挑んでいる。2024年には『乃木坂46"5期生"版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2024』でセーラーヴィーナス役を演じ、舞台に初挑戦。さらに2025年にはソフトバンクのテレビCMに出演し、39thシングル表題曲「Same numbers」で初のフロントメンバーに抜擢。グループの中での存在感を示した。ランウェイや声優といった分野にも足を踏み入れ、活動のフィールドは確実に広がっている。
テレビや舞台、CMで川粼を知った人が、“写真”で改めて見てみたいと思うこともあるだろう。長く追ってきたファンにとっては歩みを確かめる機会になり、最近気になり始めた人にとっては入り口にもなる。活動の幅が広がったぶん、写真集に触れるきっかけも増えていくはずだ。
もっとも、川粼は順風満帆に歩みを進めてきたわけではない。2023年発売の32ndシングル表題曲「人は夢を二度見る」で初選抜、さらに初福神入りを果たし、表舞台に立つ機会は一気に増えた。それでも本人は、自分を「とてつもなく不器用」だと語っている(※3)。振り付けを覚えるのに人より何倍も時間がかかるというエピソードは、ポジションの華やかさとは対照的かもしれない。だが、目に見える結果の裏で、地道な反復を重ねてきた事実がある。その積み重ねがあってこそ、今の立ち位置にたどり着いているのだ。
■度胸とサービス精神が備わったアイドル力、氷上で磨かれた見せ方
もちろん川粼には、アイドル性の高さもしっかり備わっている。わかりやすい例が、いわゆる“さくたん構文”だ。『真夏の全国ツアー2025』東京公演で「裸足でSummer」を披露した際、「君のお仕事は一つだけ! 私たちの可愛さにメロつくこと!」と客席に呼びかけたのだ。その煽りは会場の空気を変えるほどの力があったし、たったひと言で客席とステージの距離がぐっと縮まり、曲の熱が上がっていくのが伝わる瞬間だった。あの場面が今なお印象に残るのは、言葉の強さだけではなく、川粼が照れずにやり切ったからこそだろう。可愛さを真正面から差し出して、会場をちゃんと乗せていく。その度胸とサービス精神が、彼女のアイドル性をはっきり示していた。
写真集『エチュード』の舞台に選ばれたのは、川粼が憧れていたフランス。ニースとパリという空気の異なる二都市で撮影が行われ、海辺での姿や街並みに溶け込むドレスカットなど、場面ごとに違った表情が引き出されている。すでに公開されている先行カットを見る限りでは、リゾートでの開放感と都市に溶け込む洗練された姿などが写し出され、その両方を行き来できるフランスとの相性も良さそうだ。公式X(旧Twitter)で展開されている「#さくたんとお散歩デート」の写真は、フランスの街並みを歩く川粼を、まるで隣にいる相手の目線で追いかけるように切り取っている。そこに写るのは、カメラに向けて表情を作るというより、歩きながらふっと気が緩んだ顔や、視線がやわらかくなる一瞬。そうしたカットが続くことで、「写真集ではこの先にどんな表情が見られるのか」という想像が自然に膨らみ、写真集を手に取る理由が一段と強くなる。
その一枚一枚の説得力を底上げしているのが、彼女の身体感覚でもあると思う。『EX大衆』2024年11月号(双葉社)のインタビューで川粼は、フィギュアスケート経験について「直接ダンスに結びつかなくても、見せ方には活かせるんじゃないかと思って。自分の見せ方を研究するようになったんです」「1分1秒、気を抜かないように、どの瞬間も自分がキレイに見える角度を探して、表情も意識しているんです」と語っている。これはライブでの“見せ方”に関する発言だが、写真集の静止画にもそのまま当てはまるだろう。360度から視線を浴びるフィギュアスケートで身につけたのは、どの角度から見られても崩れない立ち方、見せ方だと考える。自分がどう立てば美しく見えるのかを考え続けてきた時間は、姿勢や視線、指先の伸ばし方にまで表れている。写真集は動きの連続ではなく、一瞬を切り取る表現だからこそ、その差がはっきり出る。だからこそ『エチュード』では、ふとした目線や指先の動きまでが“絵”になっていくはずだ。川粼の強さが、最もわかりやすい形で残るのが静止画であり、写真集なのだ。
磨かれた所作の美しさと、飾らない素直さ。その両方が川粼の強さだ。『エチュード』でどんな表情を見せてくれるのか、次のページをめくるのが楽しみになる一冊になりそうだ。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2366686/full/※2:https://www.oricon.co.jp/news/2421158/full/※3:https://www.nogizaka46.com/s/n46/diary/detail/100239
(文=川崎龍也)
