かつては不毛の地とされた釧路湿原が生物の楽園へと大逆転した背景とは【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

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釧路湿原で再発見された絶滅したと思われていた鳥

3000年前の自然を保つ大湿原

 釧路市民は「釧路に湿原があるのではなく、湿原の中に釧路がある」と認識しており、どこに行くにも湿原を見ながら移動します。いわば、滋賀県民にとっての琵琶湖のようなものでしょう。

 明治期、広大な釧路湿原の開墾は困難で、不毛の土地とされていました。しかし大正末期、絶滅したと思われていたタンチョウが再発見されたことで、その繁殖地として湿原の一部が天然記念物に指定され、保護活動が始まりました。昭和55年(1980)、釧路湿原は日本で初めて「ラムサール条約※」の登録地となり、昭和62年(1987)には湿原全体が国立公園に指定されました。再発見時、タンチョウは十数羽でしたが、2025年時点で1800羽以上に増えています。

 東西25km、南北36kmと、東京23区がすっぽり収まるほど広大な「日本最大の湿原」は、約6000年前までは海(入り江)でした。その後、海水が引き、土砂や泥炭などがたまり、 約4000~3000年前には、現在と同じような湿原ができていたと考えられています。

 人の手が入ることなく保たれた湿原には、哺乳類39種、鳥類約200種、は虫類5種、両生類4種、魚類38種、昆虫類約1100種が生息。また、湿原の周囲の丘陵地には旧石器時代からアイヌ文化時代にかけての約400の遺跡があり、古くから豊かな地であったことがうかがえます。

※正式名は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」

釧路湿原の自然

明治時代以降、釧路湿原は開拓が困難なため役に立たない土地と考えられてきましたが、戦後、農地開発や丘陵地の伐採などで面積が減少。それを危惧した人々が保護活動を開始しました。なお、道東には釧路湿原以外にも2つの国立公園があります。

夏の釧路湿原

釧路湿原の自然を堪能したい場合は、青々とした緑や野鳥観察を楽しめる6~7月頃がベストシーズン。湿原には6つの展望台があり、広大な景色を見渡すことができます。湿原の絶景をパノラマのように楽しめる観光列車もおすすめ。

雪景色の中のタンチョウ

国の特別天然記念物に指定されているタンチョウ。湿原内とその周辺には、釧路市丹頂鶴自然公園や阿寒国際ツルセンターなど複数のタンチョウ観察スポットがあります。雪景色の中のタンチョウを見たい場合は、給餌場が運営されている11~3月がおすすめです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』監修:和田 哲