『パンチドランク・ウーマン』ついに動き出した脱獄計画 こずえと怜治が下した決断の真意
3週間ぶりの放送となったドラマ『パンチドランク・ウーマン -脱獄まであと××日-』(日本テレビ系)。第5話では、今まで秘密裏に進められていた脱獄計画をめぐって、こずえ(篠原涼子)と怜治(ジェシー)を含めた登場人物の間で、さまざまな駆け引きが行われた。
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前回、河北(カルマ)たちの罠によって、危機的な状況に陥っていたこずえを助けにやってきたのは、一度は彼女を突き放したはずの怜治だった。彼の「信じろ」という言葉に激しく心を揺さぶられるこずえを前にして、怜治は以前の発言を撤回。こずえに無理やりスマホを渡されたのは嘘だったと証言する。
しかし、怜治の嘘が発覚したにもかかわらず、小柳(宇梶剛士)や関川(新納慎也)のこずえに対する風当たりの強さは変わることはない。管区の定例会議で彼女の処分が決定するのは5日後。それまでにこずえはスマホを持ち込んだ犯人を見つけ出し、身の潔白を証明しなくてはならない。
最初に彼女が違和感を覚えたのは、護送車に乗るメンバー5人の奇妙な共通点だった。裁判にかけられる「廻の光」の教団幹部の沼田(久保田悠来)と西城(小久保寿人)、証人として出廷する教祖の鎧塚(河内大和)に加えて、心神喪失の疑いがある三津橋(堀内健)と怜治のうち3人が、立てこもり事件に関わる人物。偶然の一致が気にかかり、独自の調査を進めるこずえのもとに、内通者であることが明らかになった海老原(小関裕太)の魔の手が忍び寄る。
こずえを生かしておくのは危険だと悟った海老原は、なりふり構わずに彼女の息の根を止めようと画策する。爽やかな笑顔の裏に隠された狂気が時折滲み出るような小関裕太の芝居によって、海老原の行動には付かず離れず狂気がつきまとう。怜治の足を踏みつけながら「あまり調子に乗らないほうが身のためです。お気を付けて」とささやいたときの表情は必見だ。
監視システムのメンテナンスの嘘、浴場に向かう内村(沢村玲)へ付き添うように誘導、「廻の光」裁判の護送担当……。積み重なる海老原の不自然な行動が頭の中でつながるこずえだが、その直後、彼女は海老原に階段から突き落とされてしまう。息の根を止められる間一髪のところで目を覚ましたものの、言い逃れできない状況でも決して証拠を残さずに、周到に始末しようとする海老原は抜かりがない。
しかし、突如として発生したトラブルによって、状況は一変する。怜治が海老原を殴って騒動を起こしたのだ。間違いなく故意の犯行だったので、こずえを殺そうとした海老原と敵対して、教団「廻の光」を裏切ろうとしたのかと思いきや、怜治はこずえに「2人だけで話したい」と耳打ちする。咄嗟の彼の言葉を受け入れて、カメラを止めた取調室で2人きりで話をするこずえも、すでに刑務官としてのルールを逸脱しており、徐々に理性の歯止めが効かなくなっている様子が伺えた。父親を殺した事件に関して、妹を庇っていると打ち明けた怜治に対して、こずえが「それが聞けてよかった。これから私も力になります」と返したのも、心のどこかで彼を信じたいと思っていたからこそだろう。ところが、手を貸すと申し出たこずえに対して、怜治はまたもや彼女を裏切るような行動を取る。すべてはここから逃げるため。それでも、沼田に「冬木こずえには手を出すな」と釘を刺していたときの彼の表情を信じたいと思っている視聴者も多いのではないだろうか。
物語の後半戦のカギを握る人物になりそうなのが刑事の佐伯(藤木直人)だ。こずえの言葉に耳を傾けて、別方面から怜治の事件を調べていた彼は、怜治の妹である寿々(梶原叶渚)が父親の春臣(竹財輝之助)から虐待を受けているのではないかと疑いの目を向けていた。しかし、その調査の過程で明らかになったのは、事件が起きた日に怜治が大金を持ち出して逃走していた事実。こずえと怜治との三角関係に関しては、どこか蚊帳の外ぎみになっているような気もするが、今後の佐伯の行動によって2人の運命が大きく変化することは間違いないだろう。
均衡は一度、崩れてしまえば、もう元のバランスに戻ることはない。こずえと怜治がそれぞれ下した決断は、2人の間で危うく保たれていた緊張の系を断ち切ってしまうものだった。いよいよ動き出した脱獄計画の全貌を知るこずえは、監禁された倉庫から抜け出して、怜治たちの作戦を未然に防ぐことができるだろうか。
(文=ばやし)
