違法スカウト集団『ナチュラル』vs.警察当局の「終わりなき摘発」 トップ逮捕後の最新動向
組織はいまも歓楽街で活動を続け、カネを稼ぎ続けている――
まさに電撃、一気に頂上を捉えた――。若者を中心に約2000人の構成員を抱え、国内最大かつ最強(最凶)と称される違法スカウト集団『ナチュラル』。そのトップ・小畑寛昭容疑者(40)が警視庁暴力団対策課に逮捕された(捜査資料には「木山会長」と記載されているので、本稿では資料に準拠し、会長と表記する)。潜伏先は、ナチュラルの主な活動場所である東京・歌舞伎町から遥か1200厠イ譴深児島県・奄美大島だった。
ナチュラルは、全国ほぼすべての繁華街で風俗店などに女性を紹介するルートを持っており、改正風営法で違法とされた「スカウトバック(紹介料)」を店側から受け取る「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」だ。
年間収益は少なくとも50億円に上るとみられているが、警察でさえ実態を十分に把握できていない。FRIDAY取材班は、この謎に包まれた組織を2年近く前から追いかけ続け、まるで一般企業のように組織化された異様な姿を3回にわたって報じてきた。
トップが逮捕されてもなお動き続ける組織の最新動向を詳報する。
“頭”を変えて動き続ける
ナチュラルでは、定例幹部会議が月1回、貸会議室などで開かれていたが、捜査を警戒して1年ほど前からはアプリを使ったリモート会議に切り替えられていた。複数の関係者に取材したところ、ごく最近まで会長も会議に出ていたという。
「風営法改正に加え、警察の包囲網も狭まっていて、みんな相当な危機感を持っていました。プロ(警察)対策を担う本社幹部のほか、執行役員や代表などの上層部が主に発言するんですが、会長も指示を飛ばしていましたね。会議は6〜7時間くらい続くこともあるのですが、会長もずっと付き合う。逃亡中という雰囲気は一切出さなかったですね」(別の現役メンバー)
この時、アプリ内で会長の名前は「谷山」と表示されていたという。捜査関係者によると’20年には「西田」という名前だったことが確認されているが、去年1月時点では「西方」に、逮捕時は「小畑」に変わっていた。単なる偽名ではなく、実際に養子縁組などで戸籍名まで変更していたという。
周囲には余裕を見せていたが、拠点や名前を頻繁に変えていた事実からは、必死に捜査網から逃れようとした思惑が透けて見える。
組織は今も動き続けている
逮捕容疑の暴排条例違反はあくまで入り口。警視庁は今後、女性を風俗店に斡旋した職業安定法違反などで再逮捕を目指しており、「最終的にはカネの流れを解明し、組織壊滅まで追い込みたい。ヤツらが得ているのは、納税もしていない犯罪収益だ」(捜査幹部)と意気込む。
大々的に写真を公開して会長を指名手配したのは、若いメンバーに離脱を促す狙いもあったといい、警察の目標はあくまでも組織の完全解体だ。今回の逮捕はゴールではなく、警察のメンツをかけた長い捜査のスタートと言える。
実際、会長が逮捕されても、現時点でナチュラルは活動を続けている。組織中枢に近い人物は「運営はシステム化されており、“頭”がいなくても、別の人間が代行するだけ」と言い放った。
「現場のスカウトが動揺しないよう、アプリ内の全員が閲覧できる場所では何も触れないようにしています。逮捕翌日も普段通り活動をしていますし、取引先の店舗とも連絡をとっています。そもそも最近は警察対策で『クリア』という会社名を使うことが多く、歴が浅いメンバーの中には、ナチュラルに所属していると分かっていないヤツも多いと思いますよ」
幹部たちは居場所を転々としながら、今後の対策を話し合っているという。
「アプリも動いていますし、資金は豊富にありますから。会長がしばらく不在でも、我々はきっちり仕事をやるだけです」
トップが捕まっても、それで終わりではない。夜の街のあらゆる欲望を糧に、ナチュラルという得体の知れない組織は、今も動き続けている。
『FRIDAY』2026年2月20・27日合併号より
取材・文:日本橋グループ*
メディアや官僚、政界などの出身者で構成される新しい形の取材・情報チーム。ナチュラルの全貌に迫った最新書籍『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(講談社)が2月12日に発売される
