試合後に挨拶をした脇坂。想いが詰まっていた。(C)SOCCER DIGEST

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[J1百年構想リーグEAST第1節]川崎 5−3 柏/2月8日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 川崎らしいゴールラッシュで、シーズン移行に伴う半年間の特別大会「百年構想リーグ」の開幕戦を飾ってみせた。

 柏とホームで対戦した川崎は、長谷部茂利監督が就任した昨季の戦いどおり、4−2−3−1のシステムで守備を意識しながら奪えば、CFエリソン、アタッカーの伊藤達哉、トップ下の脇坂泰斗、新戦力のアタッカー・紺野和也らの個の力を活かしながら手数をかけずに攻め切る。

 昨季同様にショートカウンターの威力は素晴らしく25分までにエリソンがハットトリックを記録すると、後半はセットプレーからCBに抜擢された松長根悠仁が決め、試合終了間際には脇坂が5点目を突き刺し、毎回点の取り合いとなる柏とのゲームを制してみせた。

 例年よりも早いシーズンの開幕とあって、チームの構築はこれから進んでいくに違いなく、まずは初戦を勝てたことに意味があるのだろう。

 もっとも昨季はリーグトップの得点数の一方で、失点数はリーグワースト3位タイと、課題は明白だっただけに、GKスベンド・ブローダーセン、CB谷口栄斗、SB山原怜音と即戦力を獲得し、柏戦でも先発させたが、結果的には3失点。

 試合序盤は組織だったハイプレスで柏のポゼッションを寸断し、ショートカウンターを活かして、ゴールに迫り続けた。しかし、3点のリードを得た後は重心を下げたこともあり、押し込まれる時間が続き、特に後半は奪ってはクリアに逃げるサンドバック状態が長く、諸手を挙げて喜べる試合内容ではなかった。

 攻撃面も素早い攻撃は前述のとおり、かなりの鋭さを発揮したものの、後方からの作りはロングボール主体で、CFエリソンが身体を張ってつなぐ、もしくはセカンドボールを拾える際は良かったが、全体が間延びすると攻め手を作れなかった点も昨季同様に改善ポイントと言える。

 川崎の合言葉である“勝ちながら修正”をできる点は大きいが、課題が多かった開幕戦とも評せる。
 一方で試合後には、フロンターレらしい光景も広がっていた。印象的な言葉を残したのはキャプテンの脇坂だ。

 クラブスタッフの話によるとサポーターの前で挨拶をする選手は毎回、サポーターからのリクエストで決まり、この日は、キャプテンの脇坂が指名を受けたという。

 その役目に脇坂はグッとくるスピーチをしたのである。

 この日は朝から雪が降り積もり、試合開催もどうなるか分からない状態。現に相模原のホームゲームなどは延期になった。

 その背景に脇坂が頭を下げながら伝えたのが準備を進めてくれたスタッフへの感謝だった。

「まず、積雪の影響で除雪をしていただかないと僕らはピッチに立てていませんでした。僕らにプレーする環境を与えてくださった方々に本当に感謝しています。選手たちは感謝の思いを持って今日のようなゲームで恩返しをしたいと思っています。開幕戦、勝てましたが、課題はまだたくさんあるので、しっかり戦っていきたいです。応援よろしくお願いします」

 改めてクラブスタッフに話を聞くと、早朝にスタッフのなかで連絡が回り動ける人を集い、朝の7〜9時、10〜11時の2度、クラブスタッフ、芝の管理を行なう湘南造園、スタジアムの関係者ら総勢70人でピッチ上の雪かきを行なったという。

 その情報が脇坂の耳にも入っていたのだろう。選手らはピッチで全力を懸けて戦い、試合後には彼らにスポットライトが当たる。

 しかし、ひとつの試合を行なえるのはその裏にいる多くの人たちの貢献があってこそだ。その力を何よりも大切にしてきたフロンターレの源流とも言える感謝の気持ちを、脇坂が言葉にしたことが、“川崎らしさ”を象徴していたように映った。

 脇坂の言葉に早朝からの頑張りが報われた人たちも少なくなかったに違いない。この日の勝利はそうした全員で勝ち取ったものであり、選手、トップチームスタッフだけでなく、クラブに関わる誰もが一緒になって戦うことが何より大きい。

 改めてチームの戦いは課題だらけだが、最後にフロンターレの良さを見た想いでもあった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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