昨季は怪我で本領を発揮できなかった岩尾。完全復活が期待されている。写真:元川悦子

写真拡大

 2025年のJ1昇格プレーオフ決勝でジェフユナイテッド千葉に敗れ、21年以来のJ1復帰が叶わなかった徳島ヴォルティス。2年間指揮を執った増田功作監督が退任し、26年は昨季にヘッドコーチを務めていたゲルト・エンゲルスが監督に昇格。新たな体制でチームの再構築に乗り出したところだ。

 新指揮官がまず目ざすのは、攻撃のテコ入れ。昨季の徳島はリーグ最小の24失点も、総得点は45と中位だった。14点を叩き出したルーカス・バルセロスらアタッカー陣の主力はほぼ残留したが、より多彩な形からゴールを奪えるようにならなければいけないのは確かだ。

 現在、チームは宮崎キャンプでベース作りを行なっている。2026-27シーズンで確実にJ1昇格を果たすためにも、2月7日の奈良クラブ戦からスタートするJ2・J3百年構想リーグでギアを上げていく必要がある。

 1月20日にはロアッソ熊本とトレーニングマッチを実施。45分×2本、30分×1本という変則的な形式で、結果的に3−2の勝利を収めた。

 1本目に出場し、4−1−3−2のアンカーを務めた37歳の岩尾憲は、タフな一戦をこう振り返った。

「昨年のこの時期は守備にウェイトを置いていましたけど、今年は攻撃に使っている時間が長い。監督は『クオリティ』という言葉を使いますけど、今日の練習試合は自分を含めて良くないミス、質の低いミスが何度かあった。そこはチーム全体として課題感を持って取り組んでいく必要があると思います。

 攻撃面に関しては、出し手と受け手のタイミングがまだ合っていないですし、『これが俺たちのやりたいことだよね』というシーンが出てきていない。意図したシーンが出てくると、それが積み上げになっていくので、もっとそれを作っていくことが重要ですね。

 守備もシステムが昨年と違う分、プレスのかけ方やスライドの距離が違う。少しずつすり合わせていかなきゃいけないと感じます」
 
 百戦錬磨のMFらしい冷静な分析力で現状を語る。永木亮太がいわきFCへ移籍し、渡大生も怪我で離脱中の今、岩尾は絶対的リーダーとして完成度アップに尽力しなければいけない。同時に、自身のコンディションも高める必要がある。本人にしてみれば、むしろそちらの方がより重要な課題と言えるだろう。

「昨年は8か月間、離脱していて、最後の最後に15分、20分であれば身体が持つところまでは行ったんですけど、そのままシーズンが終わった。そこから大きく状態が変化したわけではないので、今は加減を見ながら30分やることを最初の目標にしていました。実際、今日やってみて身体的には大きな問題はなかった。ここから少しずつプレータイムを伸ばして、強度を引き上げていければいいですね。

 正直に言って、自分の中での葛藤はメチャメチャありますよ(苦笑)。やりたい気持ちは強いから。だけどやりすぎると、当日や次の日にリバウンドが出たりする。難しいところはありますけど、慌てず自分に合った適応度で進まなきゃいけない。とにかくピッチから離れないことが大事だと思います」と岩尾は神妙な面持ちで言う。
 
 徳島の看板である岩尾がいるかいないかによって、チームの一体感や結束力、活力は大きく変化する。百年構想リーグは昇降格のない特別大会だが、徳島は優勝を目ざすべき集団。実際にそれだけの地力がある。

 四国勢と北信越勢が集まったウエストAで圧倒的な強さを見せるためにも、岩尾にはコンスタントに稼働できる状態を作ってもらうしかないのだ。
 
「自分たちのグループはJ3が多いですけど、その方が圧倒的にやりにくい。彼らはモチベーションが高いし、自分たちがあぐらをかいていたらやられますから。相手のエネルギーをどう上回るかという点で、全然やりがいはあると考えています。

 僕らは昨年のJ1昇格プレーオフ決勝で悔しい思いをしましたし、あそこで勝てないと本当にゼロか100かなんで、それを絶対に忘れちゃいけない。あの経験を踏まえて、自分自身がどう振る舞えるか。そこに一番コミットして、やっていきたいと思います」と、岩尾は今一度、気持ちを引き締めた。

 新指揮官の下、2026年の徳島はいかにして這い上がっていくのか。より多くのゴールを奪えるチームに変貌できるのか。岩尾の完全復活の行方とともに、彼らの動向を興味深く見続けていきたいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集