本棚と本棚が向かい合う通路に置かれたカメラが、着席して向かい合う松本と深澤を真横から捉える。ふたりが話すセリフの内容はどうでもいい。それより大きな声量からひそひそ声へと段階的に変化したふたりのささやきを映画の一コマのように感じていたい。

◆どんどん重宝される存在になると確信した

 深澤辰哉の演技を見るのはほとんど初めてである。恥ずかしいことに今さら俳優としての彼にすっかり魅了された。筆者は、彼が所属するSnow Manのにわかファンにも満たない。でもだからこそ初見のあざやかさを感じられたのだと言い訳しておきたい。

 Snow Manの他メンバーだとしょっぴーこと、渡辺翔太にも最近強く魅了されている。中村アンとの共演ドラマ『青島くんはいじわる』(テレビ朝日、2024年)で渡辺が演じたタイトルロールには恐るべき求心力があった。どうやらSnow Manとは、初見の者を強く強く引き付ける俳優集団でもあるらしい(『わたしの宝物』と同じフジテレビ木曜10時枠で2022年に放送された『silent』の目黒蓮など、メンバー全員の素晴らしさについてもふれたいが我慢)。

 彼らにとって初の冠番組である『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS)でいつも快活なリアクションで視聴者を晴れやかな気持ちにする佐久間大介は、Xアカウントを駆使して他メンバーが出演するドラマをリアタイ実況している。『わたしの宝物』放送中には「ええええ!!!!」や「ああああ」など短いリアクションを連投し、「1話あたり34回投稿」であることが、『週刊ナイナイミュージック』(フジテレビ)10月30日回でカウントされていた。

 X上でも快活があふれている。そこいらのドラマウォッチャーではこの熱量に到底勝てない。我らがしょっぴーもまた佐久間のポストをリアタイしながら見ているらしい。グループ内で出演と視聴が相互関係になっているのは頼もしい。深澤の映画的な存在感もきっとSnow Man特有の関係性の中で育まれた才能なのだろう。単なるアイドル俳優枠としてではなく、映画やテレビドラマでどんどん重宝される存在になると確信した。
<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu