ドル円は151円台に下落 ドル高一服の中、日銀会合で調整売り=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが強まり151円台に下落。途中に月末絡みの実需の買いが入る場面も見られたものの終盤にかけ売りが強まった。東京時間に日銀決定会合の結果が発表され、大方の予想通りに政策は据え置きとなった。植田総裁がどのようなガイダンスを示唆してくるか注目されていたが、「金融政策の見極めに必要な時間や利上げのタイミングに予断を持っていない」と述べていた。

 植田総裁の「政策判断に時間的余裕がある」との言及にも市場は注目していたが、総裁は、8月以降の弱い米雇用統計などを背景に市場が急変し、日本経済への重要なリスクと判断したことからその表現を使ったと説明。ただ、足元は米経済のリスク度合いは少しずつ下がってきているとし、同様の表現は不要になるのではないかと考え、今日も使っていないと語っていた。

 本日は展望レポートも公表され、25年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを、前回の2.1%から1.9%に下方修正した。リスクバランスは、前回の「上振れリスクの方が大きい」との表現を24年度はなくす一方、25年度は維持。

 全体的にハト派な印象もあったが、市場が期待していたほどでもなく、日銀はオープンの姿勢を示唆している。円相場は円高の反応を示し、ドル円は売りの反応を見せていた。

 来週の米大統領選などのイベントリスクに向けて為替市場はこれまでドル高の反応を強めていたが、ここに来てそれに向けた調整も一段落し、今週に入ってドル高は一服。その流れの中での日銀決定会合を受けて、ドル円は売られやすかったものかもしれない。

 ユーロドルは買い戻しが入り、本日1.0870ドル付近に来ている200日線を上抜いた。これまでのドル高に一服感も出る中、ユーロドルは次第にリバウンド相場の雰囲気も台頭しつつある中、200日線を維持できるか注目される。

 本日は10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表されていたが、予想を上回る内容で、前日のドイツHICPと合わせて、ECBの利下げ期待が後退している。12月のECB理事会は、一時期高まっていた大幅利下げよりも通常利下げの期待の方が高まっているようだ。目先は200日線を完全回復できるか注目されそうだ。

 ポンドの下げがきつい。ポンドドルは急速に1.28ドル台半ばまで一時下落。英国債市場で売りが続き、利回りが急上昇している。英10年債は一時4.53%近くまで上昇。市場の一部からは前日のリーブス英財務相の秋季予算案が指摘されている。財政ルールを変更し、今後数年間の大幅な借り入れを可能にした。増税も発表したが、公共サービスの拡大など財政刺激策も明らかにしている。

 今回の英国債の下落は2年前のトラス政権が、財源の裏付けがない大型減税を発表した際の混乱とは比較にならないものの、リーブス財務相が市場を味方につけるには微妙なかじ取りが求められることを浮き彫りにしたとの評価も聞かれる。英労働党は財政健全化を旗印に掲げていたが、その予算案に英国債は下落(利回り上昇)で反応している状況。

 英中銀の利下げ期待も後退しており、短期金融市場が織り込む来年末までの英中銀の利下げは計1.00ポイントに後退している。先週末の25日には1.25%と見込まれていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美