ごみ収集用トラックの助手席から記者団の取材に答えるトランプ氏/CNN

(CNN)米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は30日、波乱に満ちた選挙戦の最終盤に開く集会へ臨むに当たり、一風変わった演出を施した。自身の支持者を「ごみ」呼ばわりしたとされるバイデン大統領の失言を逆手に取り、ごみ収集の作業員を思わせるベストを着用。特製のごみ収集車に乗ってカメラの前に現れるパフォーマンスを披露した。

集会の会場は激戦州の一つ、ウィスコンシン州のグリーンベイ。専用機を降りたトランプ氏は蛍光オレンジと黄色が鮮やかな安全ベストを着て、ごみ収集用のトラックに乗り込んだ。トラックの側面には大きな文字で「TRUMP」と書かれている。トランプ氏はトラックのドア越しに、記者団の質問に答えた。

29日夜に発した上記のコメントの後、バイデン氏はトランプ氏の支持者を「ごみ」と呼んだわけではないと自ら釈明。意味が正確に伝わっていないと述べた。

ホワイトハウスも火消しに追われ、バイデン氏がコメントの中で言及していたのはトランプ氏の集会に登壇したコメディアンだけだったと主張した。このコメディアンは、集会を盛り上げるジョークとして、プエルトリコのことを「ごみの島」と呼んでいた。

ごみ収集用トラックの助手席に座ったトランプ氏は、バイデン氏のコメントについて大統領選の民主党候補のハリス副大統領本人に帰すべきものだと示唆。今回の出来事は2016年大統領選の時よりも悪いと指摘した。同年にトランプ氏と選挙で戦ったヒラリー・クリントン氏は、トランプ氏支持者の半分を「嘆かわしい人々」と形容していた。

当該のコメントを巡ってバイデン氏とハリス氏を攻撃する合間に、トランプ氏は「内なる敵」に対応するため軍隊を「使う必要がある」とは考えていないと明らかにした。「内なる敵」とは、トランプ氏の再選に抗議する可能性のある米国人を指して本人が使った言葉だ。

同氏はまた、「不正の証拠がどこにも見つからなければ、大統領選の結果は受け入れるつもりだ。実際にそうあってほしい」「勝つにせよ、負けるにせよ、引き分けるにせよ、そうあってほしいものだ」と語った。

集会自体にもトランプ氏は安全ベストを着たまま登場し、今回の道具立てについて時間をかけて話した。ごみ収集用トラックに乗ることは、支持者の一人から提案されたという。トランプ氏は実車を即座に用意した人々の仕事の早さに驚きを隠さず、「非常に有能な人たち」と称賛した。トラックの運転手の顔が「最も人気があった時期のケーリー・グラントに似ていた」とも言い添えた。

一方で、何台ものカメラが撮影する中、トラックの座席に上っていくことには不安も覚えたと明かした。もし上れなければ非常に恥ずかしい思いをすることになり、記者から認知機能や身体能力に問題があると言われるのも覚悟しなければならなかったと振り返った。