組織に属さず働くフリーランスを保護するための新法が11月1日、施行される。

 発注企業に契約内容の明示やハラスメント防止の環境整備を義務付ける。政府は検査体制などを強化し、不公正な取引慣行の是正を目指す。

 フリーランスで働く人は462万人に上るとされ、業種はIT関連やライター、配送業、芸能タレントなど多岐にわたる。公正取引委員会の調査では、取引条件が示されなかったり、不当に安い報酬を強要されたりした例が多い。これらの行為は、資本金1000万円超の企業には下請法で規制していた。新法では中小・零細も対象になる。

 新法では、発注企業と業務委託された個人との間の取引適正化を進める。企業に業務内容や報酬額を書面やメールで明示させトラブルを防止。商品納入から60日以内の報酬支払いを求める。企業はハラスメント防止の方針を策定し、相談体制を整備する必要がある。業務委託の期間が6カ月以上の場合、育児や介護との両立への配慮も求められる。

 公取委や厚生労働省などは、一元的な通報窓口をホームページ上に開設した。フリーランスの申告を受けて立ち入り検査などを行い、事実であれば指導する。従わない場合、50万円以下の罰金を科したり、企業名を公表したりする。

 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の調査では、新法施行に際し「違法・取り締まり事例の公開」への期待が大きい。平田麻莉代表理事は「企業名の公表や罰則を通じて抑止力につながる」と指摘。行政の着実な執行で実効性を確保するよう求めている。