支援者に挨拶する落選した丸川珠代氏(カメラ・頓所美代子)

写真拡大

 東京7区では開票直後に自民・丸川珠代元五輪相(53)の落選が確実となった。立憲の元職・松尾明弘氏(49)に大きく引き離され、参議院からのくら替えは失敗に。党派閥裏金事件で戒告処分を受け、公認は得られたものの比例代表の重複が認められなかったため、比例復活はない。一方、裏金問題の中心である安倍派の「5人衆」は、悲喜こもごもの結果となった。

 これまで参院選で3回当選した際に身につけていた華やかな勝負カラーの赤はなかった。午後10時過ぎ、上下紺のスーツ姿で現れた丸川氏は目に涙をため、「良い結果が出せなかった。しっかりと皆様にご信任をいただくことができず、誠に申し訳ございませんでした。私たちの力不足であったということを痛感をしております」と頭を下げた。

 裏金の代償は大きかった。元アナウンサーで閣僚経験者。抜群の知名度と実績を誇り、参院からくら替え出馬した丸川氏だが、自民裏金問題を巡る大逆風選挙の象徴の一人なってしまった。

 徹底したステルス選挙活動が裏目に出た。選挙戦中、演説日程は公示日と石破氏が入った最終日以外は、報道にも一般にもほとんど公開されなかった。裏金追及やヤジを恐れた選挙活動は、おわび行脚にもならず、無党派が多い都市部選挙区で“会いに行けない候補者”作戦は、裏金問題の信頼回復に至らなかった。

 丸川氏も「(裏金は)大きく影響した」と振り返った。選挙戦最終日の26日には石破首相も応援に入ったが、ライバルの背中は遠く届かず。調整が間に合わず公明の推薦を得られなかったことも支持拡大への壁となった。

 開票直後にライバル候補に当確が出る完敗。「活動が十分ではなかったということは非常に感じている。(当選した)相手の方がしっかり地元で集会を開き、また各地域へ頭を下げて回り、地域の先生方と連携をして頑張られた証拠」と総括した。

 議員でなくなった丸川氏。それでも、「バッジはついていませんが、自民党の一員であることには変わりはない。自民党がしっかりやり直していけるよう、我々がもう一度ちゃんとしたスタートが切れるよう、しっかり力を合わせていきたい」と前を向いて政治活動を続ける姿勢を示した。(瀬戸 花音)