萩生田光一氏

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 自民党派閥裏金事件を受けて党から非公認となった萩生田光一元自民党政調会長が、東京24区で当選確実となった。地元への利益誘導を強調しながら票の流出を食い止めようと苦心した成果が実った。裏金問題での不記載額が2728万円、取りざたされている旧統一教会問題のこともあり、逆風が吹き荒れる選挙戦だったが、当選6回の盤石地盤は揺るがなかった。

 今回の選挙戦で萩生田氏が取ったのは、大量の応援演説戦術だった。非公認での無所属出馬にもかかわらず、萩生田氏の選挙区には様々な自民党関係者らが来訪。高市早苗氏、茂木敏充氏ら総裁選に出馬した大物らが次々と選挙区内で演説、旧安倍派を中心とした「反石破勢力」を超結集させた。安倍首相夫人の安倍昭恵氏は集会でスピーチ。さらに維新前代表の松井一郎氏まで「友達だから」という理由で選挙区入りした。実現しなかったものの、陣営関係者によると、岸田文雄前首相にも依頼の声を掛けていたという。

 一方で、街頭演説では「自民党の萩生田じゃなく八王子の萩生田」と訴え、地元の道路事情の改善などの利益誘導を強調。地縁のない対抗馬の有田氏らとの違いを聴衆に植え付け、裏金事件を希薄化するべく躍起になった。

 打撃となったのが、選挙戦終盤の「自民党が公認の有無にかかわらず党支部に2000万円を支給していた」との一部報道だった。世間のイメージで裏金議員の筆頭格と見なされている萩生田氏にとっては致命的。25日に慌ててXで、自身が代表の党支部に支給された2000万円を返金したと明らかにした。

 選挙前、陣営関係者は「こちらがどれだけ説明しても、裏金や旧統一教会との悪い評判は一生はぬぐえない」と現状を嘆いていた。

 様々な悪評をはねのけ、萩生田氏は「裏金衆院選」と評された衆院選を耐えきった。