23年8月、中日戦の試合前、坂本(右)ら先輩たちに囲まれてアップをする浅野(中央=手前から時計回りに岡本和、秋広、長野)

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 巨人の浅野翔吾外野手(19)が26日、ドラフト1位で指名された花咲徳栄・石塚裕惺(ゆうせい)内野手(18)のサポートを約束した。「分からないことがあれば教えてあげたい」と後輩を支えることを決意。自身が高卒ドラフト1位で入団した経験を踏まえて「我慢」と「聞く耳を持つ」の大切さを説明した。2学年違いのドラ1コンビが高め合いながら近未来でチームを引っ張る存在となる。

 浅野は夢の扉を開いた後輩を気遣っていた。チームが西武と競合の末、ドラフト1位で石塚の交渉権を獲得。高卒ドラ1は自身が22年に指名されて以来2年ぶり。浅野は「状況は同じなので分からないことがあれば教えてあげたい。野球の技術は教えられないけど、その他のことは教えてあげられたら」と支えていくことを約束した。

 経験を還元する。入団時は当然ながら知らないことばかりで困惑。そんな時、助けてくれたのは北村拓(現ヤクルト)らの先輩だった。「やりやすい環境をつくってくれた」。キャッチボールや食事に誘ってもらいチームに溶け込むきっかけをくれ、社会人としての振る舞いも指南してくれた。「(北村)拓己さんから靴を脱ぐ時にそろえるとか、風呂場で泡が残っていたら流すとかマナーも学んだ。ちゃんと怒ってくれる先輩がいたのはありがたい」と感謝は尽きない。だからこそ次は自分が後輩の手助けをすることをいとわない。

 入団後の苦労や重圧を誰よりも理解できる存在だからこそ伝えられることもある。「偉そうなことを言える立場じゃない」と前置きした上で、自身の経験を振り返りながら1年目に大事にしてきた考えを示した。

 〈1〉我慢 高校通算68本塁打でプロの世界に飛び込んだが、壁にぶち当たった。「こんなに打てなかったことはなかった」と苦悩。イースタンで春先は打率1割台。ふさぎこみかけた時期もあった。「レベルが違うので、最初は三振もすると思うんですけど、初めは我慢。我慢すれば慣れてくるんで、我慢して向き合う」。結果が出なくても逃げることなく、課題を分析して前に進んできた。

 〈2〉聞く耳を持つ 我流だけではうまくいかないことも多くある。浅野は「監督、コーチの話をしっかり聞くことが大事」と首脳陣の助言を大切にしながら成長につなげてきた。一挙手一投足注目される環境となれば多くの声が届くが、その点に関しては「気にしすぎない」と話す。教えを刻みながら練習に打ち込むことが近道と心得た。

 浅野ら若手はすでに来季へ向け、G球場で練習をスタートしている。この日は休養日だったが、プレーで引っ張るためプロ2年目のオフも貪欲に取り組んでいる。今季は8月以降、1軍に定着し、出場40試合で打率2割4分、3本塁打、18打点。「課題は全部。走攻守でレベルアップしたい」と鍛錬の秋を過ごす。同じ右打者として浅野と石塚が躍動する巨人の近未来を多くの人が心待ちにする。共闘しながら成長し、中核を担う存在になる。(宮内 孝太)