「歌舞伎町式」と名付けられた闇...新宿のカオスに紛れ、ひっそりと営まれる「違法風俗店」の「ありえない実態」

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人々の欲望が渦巻く街・歌舞伎町。今回はその歌舞伎町に存在する、「あってはならない違法風俗店」について筆を執ろう。

新宿の風俗の歴史は古い。今の新宿3丁目あたりには売春防止法が施行された1958年まで赤線があったし、有名な新宿ゴールデン街も戦後闇市からの青線という成り立ちを背負っている。近辺で働く労働者を癒す場所が、新宿には昔から存在したのだ。

そんな古くからの妖しい街・新宿に、知られざる裏風俗が存在する。見た目はエステ店だが、マッサージではなく淫らな行為が行われていて、しかも嬢は若い日本人。そんな風俗店が、令和の歌舞伎町で蠢いている……。

詳細は筆者のチャンネル「パイナポー裏ch【アングラ探検家】」から

空きテナントかと思いきや……

2022年6月。歌舞伎町のとある雑居ビル。築50年以上経っているそのビルは、一見すると繁華街にはありふれた雑居ビルだ。特に怪しげなオーラは発していない。1階にはラーメン店が入っており、人の行き来は多い。

違法風俗店があるのはそのビルの某階である。古びたエレベーター内のテナント案内板は、その店が入居する階だけが空欄で、存在を知らなければ「直接訪れる」ことはないであろう。

エレベーターのドアが開くとすぐ店の入口がある。よくあるエステサロンといった外観で、入り口のドアは開けっぱなしになっている。

客や嬢のものだろうか、何足もの靴が無造作に散らばっている。奥には怪訝そうな顔でこちらを見る40代中盤ぐらいの男性スタッフ。

おそるおそる声をかけてみる。

「すいません、初めて来るんですけど」

「誰の紹介で来た」

「知り合いに聞いて来ました」

「ほーん」

もしかすると、ここでうまく答えられないと入店拒否されることもあるのかもしれない。一見さんお断りという感じではないが、本当にエステサロンだと思ってきた客や迷い込んでくる客がいるのかもしれない。

「金額だけ聞いてもいいですか?」

「1万円」

「OKです」

「今日やってる子は……この子と、この子と……」

女の子の顔写真が入った大きめのクリアファイルを見せられる。どの女の子も推定20〜25歳、プレイするにはみな問題ないルックスだ。歌舞伎町という土地柄だろうか、地雷系のメイクを施した子も数人見受けられた。

ここで気になることが一つ。

東南アジアの私娼窟のよう

「これみんな日本人ですか?」

「みんな日本人」

驚愕だ。女性スタッフが性的サービスを行っているこの手の1万円前後のエステ店(エステ店ではないが)なんて星の数ほどあるが、日本人しかいない店なんて日本全国探しても歌舞伎町にしかないだろう。

大体は中国人か、タイ人である。数々の違法風俗店に潜入している私でも、若い日本人が在籍しているところなんてほとんど聞いたことがない(関西の各新地は除く)。日本人を使っているということは、それだけヤバいことなのである。

とにかく写真の中の女の子はみんな可愛い。なかなか決められない。

「うーん……迷うな。サービスいい子がいいな」

「サービスいい子か……この子だな」

「じゃあこの子で」

お相手となる子が決定するとすぐに店内に導かれる。薄暗くうなぎの寝床のような細長い店内に、カーテンで区切られた部屋が4〜5つほど。

まるで東南アジアの私娼窟のようだ。不衛生というわけではないが、年季は入っている。意外と何年も営業してるのだろうか。

部屋に案内され待つこと数分。

こんな可愛い子が1万円で

シャッとカーテンの開く音と共に現れたのは、元グラビアアイドルの小松彩夏に似た細身の美女だった。思わず息を呑む。

こんな得体の知れない雑居ビルの得体の知れない風俗で、こんな可愛い子が1万円で身体を売っていいのか。

「こんにちはぁ。お兄さん、最初シャワーなんで服を脱いでください」

服を脱いで腰にタオルを巻き、店内のいちばん手前にある小さなシャワールームで身体を洗う。調子が悪いのか冷たい水しか出なかった。

シャワールームの前で待っていた女と部屋に戻る。

「緊張してる?」

「ちょっと緊張してる。初めてなもんで」

「こういう店(風俗)もあんまり?」

「……この店は初めて」

「そうなんだ。他は行ったことある?」

「他はあります(笑)。めっちゃ可愛いですね。年はいくつですか?」

「24です」

フランクな感じで話しやすい子だ。歌舞伎町だから擦れてる子を覚悟していたが、それは杞憂に終わったようだ。

「ちなみに〇〇ちゃんは日本人だよね?」

「日本人です。ここ日本人の女の子しかいないんで。前まではタイの子が1人いたけど帰っちゃった」

「すごい店だね……他の人には内緒にしておきます」

「でもよくこの店わかったね。誰かの紹介?」

「こういう店があるんだよってことを知り合いに聞いて」

「場所わかりづらかったでしょこの店。最初は案内所とかキャッチの人を通じてじゃないと初めての人って大体来ないんですよ。2回目からみんな直接来るんです。公式LINEもありますよ(笑)」

「だって入り口の看板だけじゃこういう店だってわかんないよね」

「わかんないと思います。たまに迷い込んでくる人はいるけど(笑)」

そんな雑談をしているうちにプレイが開始される。

他店から女の子を借りてくることも

好感の持てる丁寧な前戯。風俗経験は割とあるようでなかなかのテクである。正直そんなにサービスが良くなくても許せるぐらいの見た目なのだが、多分真面目な子なんだろうな……。

興奮が最高潮になったタイミングでゴムが装着され、身体と身体が一つになる。薄暗く狭い店内で、こんな美女が自分の腰の上で踊っている。ありえない状況が、いま平然と行われている。

日本には知らない世界がまだまだあるんだな……。ちゃんと看板が掲げられた、シティヘブン(風俗情報サイト)にも載っているような風俗店でこんな子と遊ぶとしたら、いったいいくらかかるだろうか……。

果てるまでそう時間はかからなかった。

「すごいね、みんな日本人ってすごくない?」

「そうなんですよ。日本の子と外国の子、両方がいる店も近くにありますよ」

「え? 近くに同じような店があるの?」

「あるんですよ。そこから(女の子を)借りてくることもあります」

「え……ちなみにその店はどこにあるの?」

「それは……(笑)」

「言えない?」

「言えない(笑)」

やはり女の子にとってもアングラな店、違法な店という認識はあるみたいだ。

ちなみにこのような形態の店(日本人の女の子が在籍する同種の店)は、私が確認しうる限り一時期最大4店舗は歌舞伎町に存在していた。

店の面構えはさまざまで、ガールズバーのような風体に擬態している店もあれば、深夜のレンタルルームを間借りして営業を行っている店もあった。

黒人は2回戦も

だがこういった店は摘発を恐れたり賃貸の問題があったりして、いつの間にか移転していたり閉めてしまったりといった理由でなかなか定着しないのだ。

「あれ、無くなってる」という感じで何もなかったように消えてしまっていることがよくある。だがこの店は10年以上ここで営業しているらしい。どうしてSNSで話題にならないんだろう。「オキニ隠し」みたいな心理でみんな教えたくないのかな。

「ちなみに時間って何分なの?」

「このコースは45分。たまにワンショット(この店の用語らしい)じゃ足りない人がいて、2回戦やる人がいるからそういう人は上のコースで入る。ここは外国のお客さんが多くて、黒人の人とかは2回戦やる人多いですね」

「やっぱり外国人のお客さん多いんだね」

「キャッチの人が連れてくるんです。直接来たら1万円なんですけど、キャッチの人に連れてこられると1万5000円とか2万円とかしちゃう。悪質な人は5万円とかで案内するキャッチの人もいる(笑)」

「1万円でもめちゃくちゃ安いよ……」

「安いですよね(笑)新宿では1番安いと思う」

そんな雑談をしていると規定の45分を告げるタイマーが鳴る。帰り際にすれ違った女の子は、クリアファイルの写真で見た地雷風メイクの子の1人だ。まさにすぐそこのトー横にいそうな見た目で、もしかしたらトー横キッズも在籍してたりするのかもしれない。

大満足のサービスを受けて店を後にする。ボロいエレベーター内でも未だ信じられないという気持ちが収まらない。こんな店が日本にあるなんて。あんなに若くて可愛い子がたった1万円で身体を売っているなんて。

約70年前に売春防止法が施行され、日本人の若い女の子が身体を売る裏風俗は関西の各新地を除き存在しないと勝手に思っていた。

でも、あった。歌舞伎町の雑踏とカオスに紛れ、ビルとビルの暗闇を這うネズミのように、雑居ビルの一室で静かに息をしていた。

まだまだ日本には、私たちの知りえない闇が存在するのである。

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