「AIエージェント」提供、日米で広がる…細かな指示なしで業務・事務作業の負担軽減
【ニューヨーク=小林泰裕】人間の細かな指示がなくても生成AI(人工知能)が自ら判断して業務をこなす「AIエージェント」サービスの提供が、米国や日本で広がっている。
メールの返信や情報収集などの処理を素早く行えるメリットがあり、企業などで定型的な事務作業の負担軽減が期待されている。
AIエージェントは、複数の手順が必要な作業を、AIが自ら判断し、まとめて実行する。逐一人間の指示に基づき、文章や画像を出力する従来の生成AI機能の次の段階のサービスとして注目されている。
米アマゾン・ドット・コムや米グーグルなどが出資する米新興企業アンソロピックは22日、人間が指示をすれば、AIがパソコンを使って情報を検索、集約するサービスの提供を開始した。例えば、AIに「サンフランシスコで日の出を見たい」と一度指示を出せば、日の出の時間や鑑賞に適した場所、目的地への移動時間などをAIがパソコン上で調べ、カレンダーアプリを起動して予定を提示するという。
米マイクロソフトも21日、電子メールへの送信やデータ管理などを行うAIエージェントの提供開始を発表した。日本でも富士通が今月からAIエージェントのサービスの提供を始めたほか、NTTデータも11月に提供を開始する予定だ。
生成AIは開発に多額の費用がかかるため、収益化が課題とされている。AIエージェントのサービスは大手企業などに販売できるため、開発企業にとっては成長領域としての期待も大きい。調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、AIエージェントの市場規模は2024年の51億ドル(約7700億円)から、30年には471億ドル(約7・2兆円)まで拡大するという。
ただ、悪意を持ってサービスが使われれば、偽情報や迷惑メールが拡散する恐れもある。雇用を奪う可能性もあり、現状ではサービスの利用に慎重な見方も少なくない。