サッカー界の「ドラ1」選手たち MF&FW編

サッカー界で、来季のプロ入りが内定、またはプロ入りを狙っている「ドラ1」級の選手たちMF&FW編。大学サッカー界屈指のアタッカーや、高校卒業後の欧州クラブ行きが決まっている選手もいる。

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角昂志郎 photo by JUFA/Iijima Reiko

角 昂志郎
(すみ・こうしろう)
筑波大学→ジュビロ磐田 
MF/2002年8月13日生まれ/166cm、66kg

 足元に吸いつくようなボール扱いと鋭い切り返し、鮮やかなドリブルは一度見れば忘れられないほど印象的だ。ユース時代には各年代別日本代表に名を連ね、3年時にはU−22代表としてアジア大会にも参加。"切り札"としてあえて後半から投入された天皇杯のFC町田ゼルビア戦では、プロ相手に一歩も引かない技術とメンタルを見せつけたのは記憶に新しいところだ。

「プロになるのは大前提。自信もある」ときっぱり。「プロで活躍するため、海外でも通用するために足りないところを練習していかないと」と、この4年間自らを磨き続けた。大学界きってのドリブラーは、突破することに満足するのではなく、その先のゴールを見据えている。


嶋本悠大 photo by Morita Masayoshi

嶋本悠大
(しまもと・ゆうだい)
大津高校→清水エスパルス 
MF/2006年10月26日生まれ/180cm、69kg

 魅力は基本技術の高さと戦術理解度の高さ。中学時代は組み立て能力に長けたサイドバックとしてプレーしたが、身長が10cm以上伸びた大津高校では中盤でプレー。2年目から定位置を掴んだことで、「パスがうまいチーム、大きく背後に蹴ってくるなど、いろんな相手のスタイルに合わせて自分のプレーを変えていけた」とプレーの幅が広がり、大きく成長した。

 10番を背負う今季は、得点に絡むプレーが増加。6つのJクラブに練習参加し、「スピード感とか身体の強さがまったく違ってついていくのに必死だったのですが、なかに入っているうちにどんどん慣れて、自分のプレーも出せた」と手応えをつかんだ。


名和田我空 photo by Morita Masayoshi

名和田我空
(なわた・がく)
神村学園高等部 
MF/2006年7月29日生まれ/172cm、64kg

 テクニックと判断力の高さが目を引くアタッカーで、ドリブル、パス、シュートを巧みに使い分けて相手ゴールに迫る。昨年、U−17W杯を経験してからはプレー強度に対する意識もアップ。「筋トレだけでなく、走りも今年はえげつないぐらいやっている。走れている試合では昨年の数倍ぐらい走っている」。

 今夏のインターハイでは9得点を奪い得点王に輝くだけでなく、前線からの守備でチームに貢献する姿も印象的だった。夏休みにはヨーロッパのクラブに練習参加。複数のJクラブも正式オファーを出しており、高体連No.1のタレントが下す決断に注目が集まる。


永野修都 photo by Tsuchiya Masashi

永野修都
(ながの・しゅうと)
FC東京U−18→FC東京 
MF/2006年4月15日生まれ/182cm、77kg

 センターバックとボランチを高次元でこなすことのできる、スケール感にあふれたグラディエーター。ハイボールを跳ね返す力、フィードの精度も目を引くが、とりわけ球際に激しく寄せてボールを奪いきる能力はこの世代でも突出している。

 昨年はケガに泣かされ、目標にしてきたU−17W杯は不完全燃焼で幕を閉じた。「あの経験ができたかできないかは、今後の自分のサッカー人生にも関わってきますし、あれで海外に対する基準やサッカー観がすごく変わったなとも思っています」と、世界へのリベンジを明確に心へ秘めている。


中村草太 photo by JUFA/Iijima Reiko

中村草太
(なかむら・そうた)
明治大学→サンフレッチェ広島 
FW/2002年10月15日生まれ/168cm、64kg

 縦への推進力を武器に、ボールを持つだけで試合を大きく動かす、大学サッカー界注目のアタッカー。相手の陣地を深くまでえぐっての正確なクロスやゴールに直結するシュートも得意とし、昨年は関東大学リーグ史上初となる得点王とアシスト王をダブル受賞。三笘薫も上田綺世もなし得なかったことをさらりとやってのけた。

 攻撃的な位置であればポジションはフレキシブルに対応できるが、サイドからスペースを見つけて攻撃を仕掛けることが多い。「もっと相手の嫌がる場所や得点確率が高いところに入っていかないと」と課題を口にするが、対戦相手にとってはやっかいな選手であることは間違いない。


安野匠 photo by Morita Masayoshi

安野 匠
(やすの・たくみ)
帝京長岡高校→ベガルタ仙台 
FW/2006年4月8日生まれ/174cm、65kg

 中学時代は技術力を生かしたドリブラーだったが、昨夏のインターハイ予選を機に50mを6秒台前半で走る俊足を生かしたプレースタイルに変化。「とりあえずボールを追い掛けて、とりあえずゴールをどん欲に目指していく。うまいプレーヤーではないので、『ガムシャラに、ガムシャラに』というのを常に意識している」。

 チャンスと見ればケガを恐れずに頭からでもボールに突っ込んでいく姿勢は、まさにストライカー。早くゴールに近づくために、前線からの守備も絶やさない。左足でのシュートに磨きをかけた今年は得点を量産し、8月には初めての年代別日本代表にも選ばれた。


高岡伶颯 photo by Morita Masayoshi

高岡伶颯
(たかおか・れんと)
日章学園高校→サウサンプトン 
FW/2007年3月12日生まれ/166cm、61kg

 スピードを生かした突破と、前線からの守備が売りのストライカー。J1のビッグクラブが争奪戦を繰り広げたが、昨年のU−17W杯で4得点をマークしたことでヨーロッパからの関心が高まり、卒業後はイングランドのサウサンプトンへの加入が内定している。

 ゴールへの姿勢とともに光るのは、成長への貪欲さ。日に日に相手からの警戒も強まっているが、「どんなにマークされようが、ボールを収めたり、スピードで剥がすのが今年の目標。ぶっちぎる力を身につけたい」とさらなるレベルアップに励んできた。高校サッカー選手権でも違いを見せつけてくれるはずだ。


井上愛簾 photo by Tsuchiya Masashi

井上愛簾
(いのうえ・あれん)
サンフレッチェ広島ユース→サンフレッチェ広島 
FW/2006年9月19日生まれ/177cm、74kg

 すでにJ1のピッチも経験しているストライカーにとって、2023年は飛躍の1年。シーズン開幕はユースのセカンドチームで迎えたが、訪れた高円宮杯プレミアリーグでの出場機会で結果を残すと、一気にU−17W杯の舞台まで駆け上がる"シンデレラストーリー"を実現させた。

 タイミングよく背後に抜け出すスピードや、簡単に当たり負けない体幹の強さに優れていて、フィニッシュも冷静さが格段に増している。なお、憧れの選手には「世界基準の理不尽なプレーでいろいろな人たちを驚かせているので、自分もそういうプレーをしたい」というアーリング・ハーランドと上田綺世を挙げている。


吉原楓人 photo by Tsuchiya Masashi

吉原楓人
(よしはら・ふうと)
柏レイソルU−18→ギラヴァンツ北九州 
FW/2006年9月20日生まれ/182cm、73kg

 今季の高円宮杯プレミアリーグのなかでも有数の左ウイング。基本的にボールを持ったらドリブル勝負。最近では対戦相手から警戒され続けているものの、それでも縦突破とカットインを使い分けながら、自らの武器にこだわる姿勢が清々しい。

 柏U−15時代は決してメインキャストだったわけではなく、そこからひたすら練習を積み重ねたことで頭角を現わし、来季のギラヴァンツ北九州加入を勝ち獲った。柏U−18を率いる藤田優人監督も「日本にいる高校生でも、努力できる才能はベスト3に入ると思う」と評価する"努力の人"は、これからも一歩ずつ前へと歩み続ける。