一歩ずつ前に“翼音も頑張ってと” 能登豪雨から1カ月 犠牲者に黙とう いまも434人が避難生活

写真拡大

石川・能登地方を襲った記録的豪雨から、21日で1カ月。

被害が特に大きかった輪島市では、各所で犠牲者に黙とうが捧げられました。

9月21日の記録的豪雨では、14人が死亡し、1487棟の住宅に全壊や浸水などの被害が出ました。

元日の能登半島地震の被災者が暮らす仮設住宅も222戸が床上浸水し、今もなお、434人が避難生活を送っています。

そうした中でも未来へ向けて歩みを進める人たちの姿がありました。

輪島塗の蒔絵(まきえ)師・喜三誠志さん。能登豪雨で犠牲となった中学3年生・喜三翼音さんの祖父です。

誠志さんは19日、金沢市の産業展示館で開かれたイベントに出席。

孫・翼音さんの写真と共に店先に立ちました。

そこで売られていたのが、フクロウの蒔絵が入ったかわいらしいカップです。

誠志さんは「翼音がとにかく『いっぱい作って』と『かわいいし絶対に売れるからいっぱい作った方がいい』『翼音が売ってあげる』と言っていた。そういう思いが詰まったフクロウなので、私が元気なうちは描き続けていきます」と話しました。

また、白山市で始まった金城大学の学園祭には、翼音さんの父・鷹也さんたちの姿がありました。

鷹也さんは「翼音がいれば僕がやることはなかったんですけど、少しでも(翼音の)代わりになれればと思って頑張ろうと思いました。いくら時間がたっても悲しみは消えないと思いますが、翼音も『少しずつ頑張って』と言っていると思うので、そう思うようにして頑張っていこうと思います」と話しました。

この日、2カ所で販売された翼音さんお気に入りのフクロウのカップは、20個が完売したということです。