青木祐奈、キャリアハイの大学最終年から決意の現役続行。アルバイトと両立する覚悟のシーズンは「過去の自分を超える」こと

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10月18日〜20日にフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦、アメリカ大会が行われた。女子は樋口新葉がGPシリーズ初優勝、渡辺倫果は2位、青木祐奈が7位。

日本男子は三浦佳生3位、島田高志郎6位、吉岡希8位で、ペアの三浦・木原組が優勝で終えた。

このアメリカ大会がGP海外戦デビューとなった青木。ショートではジャンプのミスが重なり10位発進。それでもフリーで自身の代名詞3回転ルッツ、3回転ループのコンビネーションジャンプを完璧に決め、ジャンプを全て着氷。

フリーのみで4位と巻き返し、総合7位で終えた。

そんな青木祐奈(23)は、今年3月に日本大学を卒業。

学生生活とともに競技生活に幕を閉じようとしていた彼女だが、「やりきったと思えるまでスケートに向き合いたい」という思いから現役続行を決意した。

ホームリンクで施設運営のアルバイトを行いながら、覚悟のシーズンを送る青木。

今シーズンは、サマーカップでの優勝を筆頭に、9月の東京選手権3位など、出場した国内試合全てで表彰台に上っている。

年齢に逆らうように調子を上げていく彼女の今までの歩みと、現在に迫る。

順風満帆とはいかなかった競技人生

トリノ五輪で見た荒川静香さんの演技をみて、5歳からスケートを始めた青木。ノービス時代から頭角を現し、2014年全日本ノービスAで初優勝する。

翌年強化選手に選ばれ、ジュニアGPリガ杯で自身の代名詞でもある3回転ルッツ+3回転ループの高難度ジャンプを史上4人目で成功させた。

将来を嘱望されるスケーターとして脚光を浴びる存在へとなりつつあったが、青木のスケート人生は、順風満帆とはいかなかった。

ジュニアデビューとともに、ケガに悩まされた。思うように成績が残せない中、2019-20シーズンには休養も経験する。

それでも競技から離れることなく戦い続け、再び花開いたのは大学ラストイヤーの23-24シーズンだった。

集大成でキャリアハイの昨季 

そのきっかけは、2022年の全日本選手権だった。

ガッツポーズも飛び出す会心の演技を披露し、7位入賞する。

そして、再び強化選手A入りを果たすと、キャリア初のGPシリーズNHK杯に出場。

日本の舞台で存分に実力を発揮し、出場した日本勢最高の5位と世界を相手に大健闘した。

昨シーズンは、シーズン通してのテーマを“青木祐奈のスケート人生”と掲げた青木は、ショートプログラムで自身での振付にも挑戦した。

ショート『Young and Beautiful』は見ている人を惹き込む、青木の美しいスケートを象徴するような、まさに集大成ともいえるプログラムだった。

迎えた2023年の全日本選手権では、今できるベストな滑りで観客を魅了する。

大きな拍手と歓声に包まれ、噛みしめるように演技を終えた。

青木の勢いは止まらず、年が明けた2024年、ラストのインカレで初優勝。

チャレンジカップでは自身初の合計200点超えの目標を達成し、世界女王・坂本花織に次ぐ2位に輝いた。

誰もがまだ彼女のスケートを見たいと願っていたところ、自身のインスタグラムにて現役続行を表明した。

ホームリンクでのアルバイトをしながら戦う今季

現役続行と共に練習拠点のMFアカデミー所属となった青木。

普段の練習に同行させてもらった。

この日は先に氷上練習を行い、午後にリンクでのアルバイトを開始する。

受付業務やリンク上でのパトロールなど多い時は週3日こなすという。

オフシーズンには、念願のアイスショーにも多数出演するなど、覚悟の現役続行を果たした青木は、充実した日々を送っている。

今季も“青木祐奈のスケートを世界に届ける Part2”と称し、GPシリーズ初出場となった去年から引き続きのテーマで挑む。

5季目のタッグを組むミーシャ・ジーさんと作り上げたのは、「自分の滑りが最大限いかされるようなプログラム」だ。

ショートでは初挑戦のタンゴに、フリーではエネルギーや強さを意識した、青木の抜群の表現力が引き立つ『POPSICAL』で臨む。

「全日本で過去の自分を超えたい」と挑む、彼女の活躍に注目だ。