ドル買い一服 ドル円は直近の上げの調整 情勢に変化なし=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル買いが一服する中、ドル円は戻り売りに押された。一時148円台まで下落する場面も見られ、特段の材料もない中、このところの上げの調整が出ていたようだ。前日は150円の心理的節目を再びうかがう展開を見せていたが、達成できずに伸び悩んでいる。ただ、全体的な情勢に変化はなくリバウンド相場の流れは継続。

 緩やかな利下げペースというFRBへの市場の期待の変化で、ドル高は当面続くとの見方が広がっているほか、日銀についても慎重な利上げが見込まれている。そのような中でドル円は、心理的節目の150円台の回復と151円台前半に来ている200日線が目先の上値ターゲットとして視野に入っていることに変わりはなさそうだ。

 ユーロドルは1.09ドルちょうど付近の狭い範囲での上下動が続いた。ドル買いは一服していたものの、ユーロドルを買い戻そうという意欲には乏しく、1.0875ドル付近に来ている200日線を試す雰囲気は継続している。

 市場は今週17日木曜日のECB理事会での利下げを確実視しているが、今回の利下げは段階的な利下げへの移行と広く見られている。今後数回の理事会でも利下げを行う可能性が高く、それらは保険的な利下げと見るべきだとの指摘も出ている。

 ユーロ圏最大の経済大国であるドイツは明らかに景気低迷に苦しんでいる一方、ユーロ圏のその他の国々は成長と労働市場の面で非常に回復力がある。米大統領選挙はトランプ前大統領が再任なら、その後の関税のリスクをはらんでおり、欧州企業の投資意欲にとって最大のリスクとなっている。一方、中国の景気刺激策は欧州の製造業の回復につながる可能性はあるとも述べている。

 ポンドドルは下げが一服する中、1.30ドル台後半まで一時買い戻された。先週から1.30ドル割れを何度か試す動きも見られたものの、いまのところサポートされている。ただ、買い戻しを強める動きも見られていないことから、下値に意識がある状態は続いているようだ。

 本日は6-8月の英雇用統計が発表になっていたが、注目の週平均賃金(賞与除く)が前年比4.9%と予想通りではあったものの、4カ月連続で鈍化していた。一方、ILO失業率は予想外に低下したが、英統計局はこれらの数値には調査上の問題が潜んでいると警告している。

 市場では、英中銀は今回の賃金データに勇気づけられ11月に0.25%の利下げを実施し、段階的な追加利下げも検討すると見られている。しかし、一部のエコノミストからは、数字の不確実性から、英中銀委員が労働市場のスラック度合いを測るのを難しくしているのではとの指摘も出ている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美