「全部アンタたちのせいだ!」義母が結婚式のご祝儀をくすね、実家の工場は倒産し、弟も大学中退…慟哭が止まらない「33歳女性の告白」

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結婚式のために借金

稲田絢美さん(仮名・33歳)と、淳平さん(仮名・34歳)夫婦は、結婚式を挙げるつもりはなかった。

「お金がもったいないから、入籍とハネムーンだけにする」とふたりで決めたが、淳平さんの実家が「世間体が悪いから結婚式を挙げて」と大反対する。

自分たちの貯金額に収まる範囲で終わらせるはずのレストランウエディングは、予算もないのに、大きな式場を使うことになり、親友が作ってくれたウエディングドレスも「貧相だから」と義母に却下された。

前編記事「「盛大な結婚式をあげないのは家の恥!」見栄っ張りな義母のせいで…「ジミ婚」にしたかった33歳女性が受けた「耐えがたい苦痛」」よりつづきます。

夫の実家の「見栄」や「世間体」のために、「会ったこともない親戚」が多数参加する結婚式を挙げることになっただけでなく、親友との友情の証でもあったウエディングドレスが着られないことに、絢美さんは申し訳ない気持ちでいっぱいになったという。

結婚式をめぐる諍いの経緯を聞いていた親友は理解してくれたというが、そんな絢美さんの気持ちを逆撫でるかのように、結婚式はどんどん大がかりになって行った。

「義母の見栄のためだけに、披露宴の招待客は150人に膨れ上がり、料理や引き出物もグレードアップされました。精神的な負担になっていたのは費用です。私は奨学金を完済したばかり。新婚旅行の費用も振り込んでいたので貯金は50万円しかありませんでした。それでは到底賄えず、実家の両親に頭を下げて借金をお願いしました」

彼女の実家は、町工場を経営していた。折からの不況で業績は芳しくなく、そんな中ご両親は、「絢美のためだから」と快く100万円を出してくれたという。

「その親心が有難いと思う反面、やりきれない気持ちでいっぱいになりました」

ところが、これだけでは終わらなかった。

絢美さんも「さすがにこれで十分だろう」と踏んでいたが、蓋を開けてみれば挙式と披露宴の見積額は500万円にものぼり、招待客の人数などを考慮しても「200万円は負担するように」と義母に言われてしまったのだ。

「無い袖は振れないと言っても義母は納得しないだろう」と、諦めの境地に達していた絢美さんは信用金庫のブライダルローンを利用し、さらに50万円工面することにしたそうだ。

ご祝儀まで奪われた

「やりたくもない結婚式のために、何で私が借金をしなきゃならないの!?」とあまりの理不尽さに頭を抱える絢美さん。

思えば、この頃から義実家とはもちろんのこと、そこで生まれ育った夫にも相容れないものを感じ始めていたのかも知れない。

そして迎えた結婚式当日――。「華燭の典」(絢美さんに言わせると「虚飾の典」)を滞りなく済ませ、絢美さんは淳平さんと海外へハネムーンに出かける。

経済的な理由から一時はキャンセルも考えた新婚旅行だったが、夫婦水入らずの甘い時間を過ごすことで、荒みかけていた絢美さんの心も和んでくれたという。ところが帰国後早々、絢美さんは愕然とする。

「絢美ちゃんは稲田の人間になったのだから、絢美ちゃんへのご祝儀は稲田家でもらっていいわよね」

と、義母が結婚式のご祝儀をすべて懐に入れてしまったからだ。

「私が出した100万円は諦めがついても、実家には、せめてご祝儀分くらいは返してあげたかった。義母には言いようのない怒りが沸き上がり、目の前が真っ暗になりました」

実家が倒産

この一件で、わだかまりが残った絢美さんと義実家はぎくしゃくした関係になってしまう。夫の淳平さんにも味方して貰えず、「うちの親の言い分も間違ってはいないし、いつまでも金のことでぐちぐち言うのはあさましいよ」と言われてしまった。

そして、夫婦の仲に隙間風が吹く中、結婚式から半年後、絢美さんの実家の工場が倒産する。

「あの100万円のせい!?」

絢美さんはそう考えずにはいられなかったそうだ。

動揺する絢美さんを、淳平さんは、「たかが100万円あったところでどうにもならなかったと思うよ」といって慰めたというが、無神経にも聞こえるその言い回しでは、何の救いにもならない。

「確かに夫の言う通り、100万円がどれくらい足しになったのかはわかりませんし、両親もそんなことは一言もいいません。でも、もし、無理して工面したあの100万円が経営難にとどめを刺してしまっていたら…と、自分を責めずにはいられませんでした」

肉体労働を始めた母親

悪夢のような結婚式から2年――。

絢美さんは、もはや夫の性を名乗ることも、平常心で結婚生活を送るのも、苦痛になりつつあるという。実家の倒産と派手な結婚式がセットになった忌まわしい記憶が、白昼夢となって絢美さんの脳裏に浮かびあがるからだ。

−顔も名前も思い出せない大勢の招待客

−手つかずのまま余らせた大量の料理

−やたら中身を詰め込んだ引き出物

−悪趣味で派手なウェディグドレス

−無人となった実家の町工場

「あんなもののために、私の家族が犠牲になったのか…。夫の言うようにそれが言いがかりだったとしても、そう思わずにいられません。バツが悪そうに静観を決め込んだ義両親の態度に、今でも『アンタたちのせいよ!』と叫び出したくなってしまいます」

現在、絢美さんのご両親は、生活を立て直すため、父親は派遣社員として好待遇とは言えない会社で働き始め、事務方の経験しかなかった母親も肉体労働に就いているという。

「それだけでもいたたまれないのに、学費が払えなくなった弟は、大学を中退してしまいました。私が結婚なんかしたばかりに家族の人生を台無しにしてしまった気がして、どうしていいのかわかりません…」

絢美さんがした決心とは

慟哭が止まらない絢美さん。

「今は実家への贖罪のためお金を貯めている」と言い、子作りも延期したままだそうだ。

「このままでは両親に顔向けができない。まとまったお金ができ次第、実家に渡そうと思っています。この結婚に疑問を持っています。先々のことを考えれば、考えるほど、子どもを持つ気にはなれません」

子どもの幸せを願わない親はいない。子どもが結婚をして幸せになってくれれば、それは最大の親孝行だろう。だが、それが親の犠牲の上に成り立ったものだとしたら、子どもが幸せになることを躊躇するのも無理からぬことだろう。

「私が結婚なんかしたばかり」という絢美さんの懺悔のような言葉が、彼女の苦悩を物語っている気がしてならない。

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