オープンソースマルチメディアフレームワーク「FFmpeg」のバージョン7.1、コードネーム「Péter」が公開されました。バージョン7.0で追加されたネイティブVVCデコーダーはあくまで実験版でしたが、改めて多数の拡張や最適化が実装され、DVBストリームをデコード可能になっています。



FFmpeg 7.1: a tons of codecs - Jean-Baptiste Kempf's Website

https://jbkempf.com/blog/2024/ffmpeg-7.1.0/



September 30th, 2024, FFmpeg 7.1 "Péter"

https://ffmpeg.org//index.html#pr7.1

FFmpeg 7.1 Released With VVC Decoder Promoted To Stable, Vulkan H.264/H.265 Encode - Phoronix

https://www.phoronix.com/news/FFmpeg-7.1-Released

FFmpegは独自開発のネイティブVVCデコーダーの搭載を目指して数年前から開発を進めており、2024年4月リリースのFFmpeg 7.0でネイティブVVCデコーダーを正式実装しました。しかし、FFmpeg 7.0の時点では完全な実装とはいえず、「実験段階」の扱いとなっていました。

FFmpeg 7.0が公開される、「ネイティブVVCデコーダーの追加」「CLIツールのマルチスレッド化」「非推奨APIの削除」など - GIGAZINE



その後も作業が続けられた結果、FFmpeg 7.1では多くの拡張や最適化が実装されて、DVBストリームをデコードできるようになったことで「製品段階」に到達したとのこと。

このほか、近年のiPhoneやApple Vision Proで採用されている「MV-HEVC」と、MPEG-5 Part 2とも呼ばれている「LC-EVC」の2つのコーデックがMPEG側のコードベースに追加されました。

MV-HEVCは、HEVCの3Dバージョンで技術的には新しいものではありませんが、コードベースの追加にはHEVCデコーダーの大規模なリファクタリングが必要でした。今回、MV-HEVCを追加するためにリファクタリングを行ったことで、長年抱えていたHEVCのバグも修正されたとのこと。

また、VulkanでのH.264エンコードとHEVCエンコードをサポートしたことも大きな特徴となっています。さらに、AACデコーダーも大規模なリファクタリングが行われてUSACなどの機能がサポートされ、ネイティブxHE-AACデコーダーが追加されほか、FFmpeg 7.0で追加されたAOM IAMFデコーダー/デマクサーの修正も行われています。

マルチメディアプレイヤー「VLC media player」で知られるVideoLANのリーダーであり、開発者のジャン=バティスト・ケンプ氏は、「FFmpeg 7.1は多くのコーデックと重要な機能が追加された強力なリリースであり、2022年7月に公開されたFFmpeg 5.1と同じくLTSリリースに属する」と述べています。