もう中国から逃げ出したい…!「経済オンチ」の習近平政権が加速させる《ヒト・モノ・カネ》の大流出

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9月下旬、長らく低迷していた中国株が急騰した。中国人民銀行(中央銀行)が、8000億元を注入する株価支援など大型の景気刺激策を発表したからだ。しかし、これを冷ややかに見る市場関係者は少なくない。

前編記事〈中国株の“虚しい”急騰…「経済オンチ」の習近平政権が失敗した、不動産バブル崩壊の「後始末」〉では、その理由を解説している。

本記事では、中国経済の今後の展開を予想する。

投資家は中国を避けている

近年、中国の経済・金融に関するデータの一貫性は低下している。

例えば今年8月、中国政府は本土外資金の動向に関する日次データの公表を停止した。また、2023年8月には、中国国家統計局が16〜24歳の若年失業率の公表を一時停止している。

年齢層別の失業率をより正確に推計する、というのが表向きの理由だ。それ以外にも、都市部ひとり当たりの可処分所得など、政府独自の判断で公表が止まった経済指標は多い。

こうした経済指標やデータ公表に対する中国政府の姿勢の変化は、投資家のリスクテイクを阻害する。統計データの作成基準の変更、公表停止により、投資家が経済や金融市場を客観的に分析することが難しくなるからだ。

本土と香港の証券相互取引による、本土株の資金流出入データの公表停止は重要な意味を持った。それによって、今年、海外投資家が本土株を売り越す可能性が高まったと考える中国経済の専門家は多い。

経済・金融データの一貫性がなくなり、世界の機関投資家は中国リスクを取ることが難しくなった。資金運用の成績を測る基準である、株式や債券の主要なインデックスから中国銘柄を除外する投資家は増えた。それも、本土株などへの売り圧力の増大要因だ。

国内では、デフレ圧力の高まり、本土株、不動産、理財商品などリスク資産の価格下落への恐怖心の高まりなどから、無リスク資産である国債を選好する個人や中小の銀行が増加した。

5月以降、中国政府と中国人民銀行は、一部でバブル発生として投資家の国債購入にブレーキをかけようとした。しかし、その効果はあまり出ていないのが現状だ。

不動産バブルの後始末が進まない中、無リスク資産を選好する投資家が増えるのは当然といえる。中国国内では、価値が安定している金を保有する個人なども増加した。

企業も中国に投資したくない

9月上旬時点で、中国本土株の予想PER(株価収益率)は9倍程度に低下した。その水準を考えると、中国本土株は相対的に割安な水準で放置されているといえるかもしれない。

ただ、9月下旬には新たに発表された株価支援策などに対する期待から中国株は急騰した。しかし、前編記事で述べた通り、それも長く続くかは疑わしい。有価証券投資だけでなく、企業の対中直接投資も減少基調で推移する可能性は高い。

在上海米国商工会議所のアンケート調査によると、最重要投資先は中国であると考える企業の割合は、ここ25年間で最低の水準に低下した。人口減少による労働コストの上昇、不動産市況悪化によるデフレ・リスクの上昇、各種政策リスクの高まりなどが海外企業の対中直接投資の縮小に影響した可能性は高い。

11月の大統領選挙を経て、先端分野で米中の対立が先鋭化する恐れもある。

そうした状況にも拘らず、中国政府はこれまでの政策を修正する考えを示していない。

9月中旬、習近平国家主席は地方政府の幹部に「中央委員会が導入した措置を慎重に実施すべきだ」と指示したようだ。それを額面通り解釈すると、これまでの指導部の方針を徹底して実施し、経済成長率目標を実現するよう求めたということだろう。

ヒト・モノ・カネの大流出…!

当面、中国の経済政策は不良債権処理や構造改革よりも、国有企業などの生産能力増強を優先する可能性は高い。過剰生産能力もさらに膨らむだろう。

政治、経済のリスクを避けるため、中国からインドやアセアン地域の新興国、あるいは自国内に製造拠点などを移す内外企業はさらに増加するだろう。

それに伴い、国内の雇用・所得機会は減少すると予想され、海外への移住(中国からの脱出)を目指す中国の一般市民や企業は増えるだろう。

長きにわたる中国株の下落による傷は深く、中国の今後の行く末を懸念する投資家はいまだ多い。9月下旬の中国株の急騰を「復活」と捉えるのは早計だ。

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