盗塁軽視の意見を吹き飛ばす大谷翔平の「93.7」 打者専任の1年で際立った異能「技術は本当に並外れている」

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自身の技術を見つめ直し、盗塁を量産していった大谷。(C)Getty Images

 平然と成功させるところに凄みがある。

 現地時間9月28日、敵地で行われたロッキーズ戦で大谷翔平(ドジャース)は「1番・DH」で先発出場。5打数2安打でチームの13-2の大勝に貢献するとともに、自身キャリアハイとなるシーズン61度目のマルチ安打をマークした。

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 第1打席に弾丸ライナーが右翼フェンス直撃する安打を放った大谷は、4戦連続マルチ安打とする右前打で出塁した6回には58個目となる二盗を決めた。相手投手の投球フォームを完璧に突く盗塁だった。

 盗塁死が両リーグで記録されるようになった1951年以降では、歴代4位の35回連続盗塁成功となった大谷。かつては「守らず、打つだけ」という認識もあったDH選手の在り方を改めさせていると言っていい。

 圧巻は93.7%という成功率の高さだ。これはシーズン55盗塁以上を決めた選手においては史上最高の値である。日本人選手年間最多記録(56盗塁)を持っていた2001年のイチローですら80%だったことを考えると、その凄みが際立つ。

 もっとも、メジャーリーグは、昨年から投手による牽制回数(3回)を制限。さらにベースサイズの拡大など走者有利の傾向が強まっており、大谷の走力を軽視する意見も少なくない。史上初めて40-40を達成したホセ・カンセコ氏が「走者が有利になる方向にすべてが変わった。ルールや投手に対する規制はとても未熟だ」と断じてもいる。

 ただ、90%を超える成功率は並大抵のことではない。ドジャース移籍後に走塁面の強化を決断した大谷は、走り方やリード面を徹底的に見つめ直し、大きく進歩してきた。そうした背景を知る米誌『Sports Illustrated』の大物記者であるトム・ベルドゥッチ氏は「適切なカウントで、適切な投球を選ぶコツを彼は心得ている。その技術は本当に並外れている」と称賛している。

 メジャーリーグのレギュラーシーズンは残り1試合。大谷がどこまで数字を伸ばせるかは興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]