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 就任1年目でリーグ制覇を果たしたソフトバンク・小久保裕紀監督(52)の恩師で、元青学大監督の一般財団法人スポーツ未来機構・河原井正雄会長(70)が、本紙に祝福のメッセージを寄せた。

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 よく、やったよ。

4番山川を打順を変えずによく我慢するなと思った時期もあったよ。あれが小久保の、持ち前の頑固さだな。

 開幕前に「絶対に4月が大事だ。シーズンは長いけど、そう逆転はできねえ。スタートダッシュだぞ」と伝えたら「はい、分かってます。やります」と冷静だったんだ。連敗してもベンチで顔に出さねえ。普通にやってたな。あれはベンチの雰囲気も変な感じにならねえんじゃないか。

 常に先のことを計画的に見て、実現させる男なんだよな。青学大に投手で入学。最速140キロそこそこ出るが、フォームがカクカクで固いし腕のしなりもない。1年秋に公式戦に投げさせたら若田部(現投手コーチ、駒大)にボッコーンと本塁打されてさ。あったまきて「ピッチャーだめ。野手になれ」と言ったら「僕もそう思ってました。絶対にプロになります。やります」とか言うもんだから「てめえ、なめてんじゃねえぞ、この。甘いもんじゃねえ」と言ったんだけど。それからずっと練習やってた。

 おれが会食から帰ってきても室内の電気は付いていた。小久保だ。デート終わりも室内で打ってたらしい。「よく、1000本振れと言うじゃないですか。どれだけかかるか知ってますか? 3時間です。でも僕はやります」。当時は金属バットで、日本は打倒キューバの時代。ベンチプレスで野手120キロ、投手100キロをノルマ化させたが小久保は2年からガンガンやり出してさ、五輪前には120キロ上げてたよ。

 青学の教え子はプロ入り後、現役生活も長い。これは小久保のおかげでもあるんだ。「練習をもう少し短くしてください。自分たちでやりたいと」と言ってきた。俺も血気盛んでガツガツやらせてたけど「僕は夕方までやって自主練習もできますが、みんなはやりたくてもできない。代わりに僕が全部、見ますので監督、帰ってください」。この伝統があるから、うちのOBは自分で練習ができる。長生きするんだよな。影響力があるんだ。

 性格的にも監督向きなんだ。節目、節目で「ご飯食べましょう」と来るが泣き言なんか聞いたことねえよ。もう、俺なんか勝てねえよ。怒る気にもならねえ。何にも言うことねえよ。気になるし応援しちゃう男。侍ジャパンの監督のときはほぼ、全試合見に行ったから。

 今度、また「福岡行くぞ」と言ったら「任せてください」と言ってたな。俺1人じゃねえ、5、6人で行くから。ただ短期決戦、プレーオフが怖いな。投手がいいのはロッテ。気を付けろ。長期的に勝つリーグ戦ではない短期決戦は気を付けろ。投手の厚さでロッテはこわいぞ。(談)