ロシア軍機が3回領空侵犯、自衛隊機が初のフレア発射=木原防衛相

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[東京 23日 ロイター] - 木原稔防衛相は23日夜、北海道礼文島の北方上空を領空侵犯したロシア軍の哨戒機に対し、緊急発進した航空自衛隊機がフレアを発射して警告したと発表した。自衛隊がこれまで40件以上の領空侵犯措置をしてきた中で、フレアを発射したのは初めて。

木原防衛相によると、同日午後1時台から3時台にかけてロシア軍のIL─38哨戒機1機が3回にわたり領空侵犯した。航空自衛隊はF15、F35戦闘機を緊急発進し、無線で通告と警告をしたほか、3回目の侵犯時にフレアを発射した。

木原防衛相は「状況に鑑みてそのような判断に至った」とフレアを発射した経緯を説明しつつ、「ロシア機による特段危険な行為はない」と述べた。フレアの発射や警告射撃は「われわれが取りうる運用の1つ。いずれにしても躊躇(ちゅうちょ)なく行いたい」と語った。

木原防衛相によると、これまで確認した領空侵犯は今回を入れて48件。旧ソ連時代を含めロシアが44件、中国が3件、台湾が1件だという。8月26日には中国軍の情報収集機が長崎県男女群島沖の上空を侵犯し、航空自衛隊が戦闘機を緊急発進した。

これとは別に、防衛省はロシアと中国の艦艇8隻が23日に宗谷海峡を東へ航行したことを確認。木原防衛相は、「ロシア軍軍機の飛行と中ロ両国の艦艇の航行が関連している可能性も考えられる」と述べた。

木原防衛相は、外交ルートを通じロシア政府に抗議したことを明らかにした。「ロシア軍はウクライナ侵略後もロシア機はわが国周辺での活発な活動を継続している。わが国周辺空域におけるロシアの軍事動向に対し引き続き強い関心を持って注視するとともに、警戒監視に万全を期していきたい」と述べた。

林芳正官房長官は今回の事案を受け、官邸に情報連絡室を設置したことを明らかにしたうえで、今回のロシア軍機の行動の意図、目的については確たることを答えるのは差し控える、としている。

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