六本木ヒルズに展示されている「AFEELA Prototype 2024」

ソニー・ホンダモビリティは、開発を進めている電気自動車(EV)の最新プロトタイプ「AFEELA Prototype 2024」の実車を、9月20日から23日までの4日間に渡って東京・港区の六本木ヒルズにて展示する。展示初日の20日には、メディア向けに車両説明やインフォテイメント、立体音響などのデモンストレーションが行なわれた。

なお、六本木ヒルズでの展示は予約などは不要で誰でも見学可能だが、車内に乗り込むことはできない。

今回展示される車両は、2024年1月の「CES 2024」で披露されたプロトタイプで、これが日本初上陸。アメリカの法規制にあわせて一般的な乗用車に近い大きさのサイドミラーを備えるなど、2023年のプロトタイプから量産に向けて進化している。

エクステリアは「ニュートラル」をキーワードとし、ボンネットやルーフなどは丸みを帯びたデザイン。一方サイドはエッジの効いたデザインでコントラストを演出している。

フロント周りで印象的な「メディアバー」。「Happy Birthday Carol!」などの文字を表示することも

バッテリーの充電状況なども表示できる

車体のフロントまわりで最も目を引くのが、さまざまな表示が可能な「メディアバー」。「AFEELA」ロゴのほか、「Happy Birthday」や「WARNING!」といった文言、バッテリーの充電状況、さらには人気ゲーム「Fortnite」のロゴなども表示可能。表示変更はスマートフォンから操作していた。

今後に向けては、ユーザーがオリジナルの画像や文言を作って表示させる機能の搭載も検討しているとのことで、“推し活”にも使えるようになるかもしれない。

またプロトタイプにはドアノブがないのも特徴のひとつ。今回はデモは行なわれなかったが、現在はスマートフォンを持って近づくと自動的にドアが開く仕組みを構築しているという。

運転席から助手席まで巨大なディスプレイが広がっている

運転席に座ると、D型のハンドルの向こうに巨大なディスプレイが控えている。このディスプレイは助手席側までつながった一体型で、速度や航続距離といった情報のほか、ナビ情報、車内エンタテインメントの表示パネルとして機能する。

ディスプレイに表示されているコンテンツは、自由に動かすことができ、例えばドライバーの視界には速度とナビを、助手席正面には動画などのエンタメコンテンツだけを表示するといったことも可能。“プライベートフィルター”を使って、運転席側から助手席側のコンテンツを見えなくすることも可能だという。

ディスプレイのデザイン自体をゲームの“スキン”のように入れ替えることも可能。例えば「Fortnite」のスキンを使うと、アイコンや速度メーターの上に表示される車体モデルなども“Fortnite風”のデザインに変化。あわせてドア内側などにあるライティングの各スキンに合わせたカラーリングに変化する。

またAFEELAはEVのため走行中にエンジン音は聞こえないが、そのエンジン音の代わりに流れる加速サウンドも、「ビュオーーン」とFortniteでシールド回復中に流れる効果音のようなサウンドに変わる。今回はプロトタイプなので1種類しか聴くことはできなかったが、発売時にはバリエーションが増えるはずだ。

写真中央部分がサイドミラービューを映すディスプレイ

アメリカ仕様にあわせ大型サイドミラーを装備。カメラやセンサー類も備えている

巨大ディスプレイの端部分には、サイドミラービューを表示するディスプレイも搭載。上述のとおり、アメリカ仕様では法律上、物理的なミラーが必要となるものの、国によっては物理ミラーは設置せず、カメラ映像をサイドミラー代わりにできるという。

後部座席のシート。ヘッドレスト下部分にスピーカーを搭載

車内のサウンドシステムはソニーの空間オーディオ技術「360 Reality Audio」に対応。運転席だけでなく、後部も含めた全座席で立体音響を楽しめる。ヘッドレスト下付近にもスピーカーが仕込まれていた。ソニー・ホンダモビリティとしても「車内空間というのは一番イマーシブな体験に適しているということで、我々としても力を入れているポイント」だという。

左右の後部座席それぞれにディスプレイを搭載

後部座席にも大型のディスプレイが2台用意されており、各シートで好みのコンテンツを楽しむことが可能。上述の360 Reality Audioにより、各シートにだけ音が広がるようになっているため、お互いを気にせず、後部座席の左右で違うコンテンツに没入できるとのこと。

後部座席は見た目には狭そうに感じるがガラスルーフの恩恵もあり、乗り込んでみると開放感は充分

また実際に後部座席に乗り込んでみて印象的だったのが開放感の強さ。このプロトタイプはセダンタイプの車体なので、外から見ると後部座席はそこまで広くなさそうに感じるが、ガラスルーフとなっているため、天井の圧迫感がほとんどなく、見た目以上に開放感を味わうことができた。シートもしっかりとしたホールド感が感じられ、長時間の移動でも疲れにくそうに感じられた。

今回は内外装や車内エンタテインメントの体験のみだったが、2025年の量産モデル発表に向けて着実に開発が進んでいることが感じられたプロトタイプ。来年には量産モデル発表も控えており、今後は自動車としての運動性能なども含めた続報も楽しみにしたいところだ。

展示エリアでは、AFEELAが収録されているグランツーリスモ7の試遊台も用意され、一足早くAFEELAに“試乗”できる