力強く差し切ったアーバンシック(手前)=撮影・佐々木彰尚

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 「セントライト記念・G2」(16日、中山)

 王道組が力の違いをまざまざと見せつけた。勝ったのは2番人気のアーバンシック。春は乗り難しさがネックとなり、皐月賞4着→ダービー11着と悔しい結果となったが、ひと夏を越して精神面が大きく成長。ルメールの的確なエスコートに導かれ、重賞初Vを達成した。2着は1番人気のコスモキュランダ、3着には3番人気エコロヴァルツが入り、この3頭に菊花賞(10月20日・京都)の優先出走権が与えられる。

 ルメールの完璧なエスコートで、2番人気のアーバンシックが重賞初Vを達成。春は皐月賞4着→ダービー11着と涙をのんだが、秋初戦で成長した姿を見せつけた。

 スタート直後はいつも通り前には行けなかったものの、最内枠を利してスルスルとポジションアップ。向正面からはインの5番手付近でじっくりと脚をためた。勝負どころで動きにくい場面はあったが、慌てることなく馬群がばらけるまで我慢。進路ができて鞍上が合図を送ると、一頭だけ違う脚色で突き抜けた。

 ルメールは「これまではジワジワ伸びる感じだったけど、力をつけたので直線ではすぐにギアがアップした。最後はすごくいい脚を使ってくれたね」と満面の笑み。初騎乗ながら、しっかりと癖をつかんで乗りこなすあたりはさすがだ。

 名手の好騎乗が光った一戦だが、馬自身の成長も大きかった。春は気持ちの部分に課題があった馬。武井師は「精神面はダービーの頃で2歳くらいだと思っていたけど、今は2歳と3歳の間くらいにある。他の馬よりは遅いが、しっかり成長している」と確実に進化を遂げる姿に目を細めた。

 次戦は未定としたが、菊花賞は選択肢の一つとしてある。鞍上が「まだ良くなりそうだし、菊花賞でチャンスはあると思う」と話せば、指揮官も「これから決めることになるけど、次戦はG1になるだろうし、そこではもっといいパフォーマンスを見せられると思います」と力強い。飛躍の秋へ−。精神面の成長でスケールアップした素質馬が、今度は最上級のステージで存在感を示す。