ゾンビだなんて…。昆虫の身体を乗っ取って殺す「菌」の正体とは?
「ゾンビ菌」と呼ばれる恐ろしい菌があることをご存知ですか? ゾンビ菌に感染したタランチュラは、なんとも無残な姿になってしまうというのです。
ペルーのアマゾンやウガンダで活動するフィールド研究者のクリス・ケトラさんは先日、タランチュラの死骸に出くわしました。その死骸が異様な雰囲気に包まれていたのは、太くて大きなタランチュラの身体から植物が生えていたからです。
そう、このタランチュラはゾンビ菌に感染して死んだとみられるのです。ゾンビ菌と呼ばれるのは、「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」と呼ばれる菌類の一種。昆虫に寄生すると、その昆虫の体内の栄養を吸い取り、やがて昆虫が死に至ると、その身体から菌糸が芽を出して成長していくのです。しまいには、糸状や棍棒状の大きな子実体(キノコ)が地上に作られます。
寄生したら、その宿主の神経系や身体自体を乗っ取ることから、ゾンビ菌という恐ろしい名前がついたのでしょう。昆虫の体内を食い荒らして最後に菌糸を成長させるのは、菌の胞子を繁殖させるのに、日光が当たりやすく暖かい条件にするためだとか。
冬虫夏草が感染する昆虫は、冬虫夏草の種類ごとに異なりますが、タランチュラを狙う種類は珍しいとのこと。クリスさんがゾンビ菌に感染したタランチュラを見たのは、今回が3度目でした。
なんだか恐ろしい呼び方をされてしまった冬虫夏草ですが、実は中国ではそのキノコを古くから漢方薬として用いられてきました。不老長生の精力剤として珍重されているそう。冬虫夏草という名前は、冬季は虫であるものが夏季には植物になると解釈してつけられたと言われています。
ちなみに、ゾンビ菌は人間には感染できないとのこと。世界には私たちが知らない奇妙な菌がまだまだありそうです。
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【主な参考記事】
Daily Mail. Nightmarish photo of tarantula infected by a ZOMBIE FUNGUS. August 28 2024