ブンデスリーガ開幕直前現地情報 堂安律、板倉滉、佐野海舟...日本人選手たちは今季活躍できる?
8月23日に新シーズンの開幕を迎えるドイツ・ブンデスリーガ。今季も多くの日本人選手たちがプレーするが、彼らは開幕からスタメンの座を勝ち取ることができるのか。ドイツで取材を重ねるライターの林遼平氏に、予想とともに現地情報を教えてもらった。
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【彼はとんでもないマシーンだ】佐野海舟(マインツ/MF)
マインツに所属する佐野海舟選手のスタメン予想としては80%でしょうか。今夏、日本で問題があったりなどしたなかで、キャンプインが遅くなったこともあって、ドイツの報道でもボー・ヘンリクセン監督が「馴染むのに少し時間がかかっている」と話をしている時もありました。
佐野海舟はチームへ合流が遅れたが、監督、チームメイトから高い評価を得ている photo by Getty Images
ただ、開幕前に行なわれたDFBポカール(ドイツ国内カップ戦)のヴェーン戦では、チームが勝利を収めたなか、延長を含めて120分間出場してそのパフォーマンスがかなり高い評価を受けています。監督は「先週は1回、今週は3、4回ここで練習していて、今日は120分間プレーした。彼はマシーン。とんでもないマシーンだ。今日の彼は信じられないほどだった。彼はものすごくスピーディーで、高くジャンプして、空中戦にも勝てる。我々にとって彼を獲得したのはいいことだ」と絶賛しています。
ボール奪取のところで違いを見せていましたし、攻撃に絡むところでもかなりいいプレーでした。主将のジョニー・ブルカルトも「見事なパフォーマンスだった。すでにフィットしてるのはすばらしい」と話していて、短い期間ながらもチームにかなりフィットしてきているように感じます。
あとは120分出場したことをどう考えるか。長い時間出場した分、休ませるかもしれないし、コンディションを上げるために120分使ったとの見方もある。その点でどっちに振れるかというところですが、パフォーマンスがよかったからこそ、スタメンに入ってくる可能性はあるんじゃないかと思います。
【FWだけでなくトップ下での起用も?】町野修斗(ホルシュタイン・キール/FW)
町野修斗選手については、先発出場の可能性は95%。ケガがあるかもしれないので100%とは言わないようにしますが、極めて高い95%です。彼はプレシーズンマッチもかなり試合に出ていましたし、先週末のDFBポカールのアレマニア・アーヘン戦では先発出場していました。
ちょっと面白いのが、基本的に2トップの一角で使われると思っていたんですけど、カップ戦では3−5−2のトップ下で先発出場していたところ。前線からのプレッシングだけではなく、ボールを前進させていくところでかなり関与しています。もともとキール自体がいろいろなボールの動かし方、メンバーの組み合わせを工夫する面白いサッカーをするチームなんですけど、その試合でも町野選手はバックライン近くまで下りてボールを受けたり、前にいるだけではなくて、かなり広範囲に動きながらプレーしていました。
本人も「少しフリープレイヤーみたいに動いてほしいと言われている」そうです。もともと日本でもボールを受けて前に運ぶプレーをやっていて、そこのうまさもあって、監督からもそういうポジションでもプレーしてほしいと言われたらしいです。
2トップの一角だけではなく、トップ下のポジションでも今年は出場するかもしれない。そういう意味ではスタメンは間違いないんじゃないかなと思っています。かなりボールに関与するストライカーになっていて、今後の成長が楽しみです。
試合後には「今シーズンは7ゴール、7アシスト以上を目指している」と話していました。この試合でもヘディングで見事な先制点を決めていて、調子もすごくよさそうだなと感じています。町野選手にとっては、昨季2部リーグでプレーして、今季から初めてのブンデスリーガの舞台。「かなりワクワクしてます」と。プレシーズンは少し結果が出てない状況もあったみたいですが、最初の試合から得点ができて、このまま乗っていけそうだなと。
「日本代表を今年は目指したい」とも言っていましたし、ブンデスリーガでゴールを決められるストライカーになれば、自ずと呼ばれると思うので、そこを目指して活躍してほしいですね。
【昨季以上に攻撃に専念できるか】堂安律(フライブルク/MF)
堂安律選手はほぼ100%ですが、ケガなどもあるかもしれないので95%。
今季のフライブルクで昨季と大きく変わったところは監督です。ただ、ユリアン・シュスターという、もともとフライブルクでプレーしていた選手で、前任の(クリスティアン・シュトライヒ)監督の時もプレーしていた方なので、チームの流れを継続していこうとする招聘だと思います。
そんななか、堂安選手はプレシーズンからしっかり先発出場を続けています。彼の評価に対しては、クレーメンス・ハルテンバッハスポーツダイレクターがこんなことを話していました。
「彼は自身のフットボールとしてのプロフィールを仕上げていくにあたって、コーチ陣とともにハードワークした。とくに相手のボールに対する守りだったり、後方に向けての責任感、デュエルでのボールを奪おうとする執念深さは大きく前進した」
日本代表でもウイングバック(WB)をやったことがありましたが、昨季のフライブルクでもWBでプレーすることが多く、守備面での評価がすごく高まっています。
今季は3バックの形を試した試合が少ないみたいなので、4−2−3−1の右サイドハーフを務める機会が増えそうですが、クラブからの評価が高いのもあって、今季も先発出場が基本になるのではと感じています。
あとは安定したパフォーマンスができるからこそ、ここからもうひとつ突き抜けられるか。10ゴール以上を取るなど評価をさらに上げることができるか。チームのなかでさらに突き抜けた存在になれるか注目ですね。昨季のようにWBで守備もいっぱいやらなければいけない状況は減りそうなので、より攻撃に専念できるのではと楽しみにしています。
【ディフェンスリーダーとしての自覚】板倉滉(ボルシアMG/DF)
板倉滉選手も95%。先週末のDFBポカールでも先発出場していて、勝利に貢献していますし、フレシーズマッチでも基本的にセンターバック(CB)のレギュラーとしてプレーしています。
気になる点では、直前にCBにケガ人が出たという話も入っています。DFBポカールではU−19イタリア代表のファビオ・キアロディアという選手と組んでいましたけど、リーグも彼とCBを組む可能性が高くなっています。そこの連係面はひとつポイントになるでしょうね。
先週、練習取材に行って本人に少し話を聞いたら「ここ最近だと一番コンディションいいです。めちゃくちゃバッチリ」とのことです。表情もかなり柔らかくて、本番に向けてかなり心身が高まってきている感じがしました。それに練習中もかなりDF陣に対して話しかけるシーンが多く、DFラインのリーダーとしてやっていく自覚を感じました。
キャプテングループみたいなものからは今季外れたようなんですけど、新しい選手が入ってきて少しメンバーが変わったなかでも周りとコミュニケーションが取れる選手ですし、本人からはこれからもガンガンやっていくという雰囲気をすごく感じています。
【期待高まる若手ストライカー】福田師王(ボルシアMG/FW)
福田師王選手は先発出場ではなく、ベンチ入りの可能性が30%ぐらいですね。プレシーズマッチは基本的にスタメン組とサブ組みたいな感じで順番にやっていることが多く、どちらかと言うとサブ組のほうで出る回数が多かったです。得点も取って結果は残していますが、直前の練習試合を見ても2番手だったので、先発の可能性は低いかなと。週末のDFBポカールもベンチ外だったので、そう考えるとベンチの可能性も低いのかなと考えられます。
ただ、先週の練習を含めて見た限り、センターフォワード(CF)の位置では2番手、3番手争いには入っています。新加入のティム・クラインディーンストという昨季ハイデンハイムで12得点を記録した選手がスタメン候補になります。昨季CFで起用されたトマーシュ・クヴァンカラ選手はワイドでプレーすることも増えそうで、純粋なCFだけだと福田選手は2番手に入ってくるのかなと。
練習後もそのふたりだけポストプレーの練習を個別でやっていました。福田選手にとっては背後への抜け出しなどはうまいんですけど、1トップでどうボールに絡むかが課題もあるので、そこが伸びてくれば、今後ベンチ入りやスタメンの可能性は高まってくるのかなと感じています。
ちなみに初戦はレバークーゼンとの対戦なんですけど、そこに向けてどうですかと聞いたら「いつ出番が来ても余裕です」と言っていました(笑)。そういう逞しさを含めて楽しみです。