「デートはするけど、発展しない…」38歳男が、食事中に犯している致命的ミスとは
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「夜景の見えるレストランを予約したのに…」お台場デートの後、30歳女の態度が急変したワケ
食事会から、交際に発展することはあるのだろうか。いや、あるはずだ。既婚者の友人たちから、「出会いは食事会だった」という話はよく聞くから。
連絡先を交換して、LINEでやり取りをして一度目の食事デートまでは繋げられる。しかしその後が続かない。
食事会での印象は良かったから、デートへは行けているはず。ということは、デートに何か問題があるのだろうか…?
Q1:食事会で印象が良い男、悪い男とは?
佳奈と出会ったのは、友人が開催してくれた、男女3対3の食事会だった。
幹事が「可愛い子を集める」と言っていただけあり、女性陣のみんなが可愛くて驚いた。
そんななかでも第一印象が一番良かったのが、佳奈だった。
「佳奈ちゃんは、何のお仕事をしているの?」
「私は美容系のメーカーで広報をしています。憲一さんは?」
「僕は飲食店をいくつか経営していて」
「社長さんですか?」
「まぁ、一応」
「すごい!!」
僕は、今年で38歳、社員もそれなりにいる会社を経営している。佳奈の反応が良かったので、僕はもっと彼女のことが知りたくなった。
「佳奈ちゃん、どこのメーカー?」
名前を聞くと、知らない人はいないであろう、日本が誇る大企業だった。
「すごいね」
「いやいや、憲一さんのほうこそ」
美人で仕事もできそうな佳奈にさらに興味を抱き、僕は大皿に盛られた生ハムをそのまま食べながら、質問を続けてみる。
「佳奈ちゃんは、今どの辺りに住んでるの?」
「私は芝公園です。憲一さんは?」
「僕は目黒だよ。目黒駅すぐのタワマンで」
たぶん、目黒駅に降り立ったことがある人ならばどのマンションかわかるだろう。成功の証としてのタワマンは、悪いことではないと思う。
「エントランスが素敵な所ですよね?すごくいいマンションじゃないですか」
「一応、ほぼ最上階。でも部屋が広すぎて、ひとりで暮らすにはもったいないんだよね」
「すご。そんなに広いんですか?」
「3LDKなんだけど、部屋が余っていて」
「いいな〜。私、あのタワマンに住みたくて」
本心かどうかはわからないけれど、自分の住んでいる家を褒められると嬉しい。だからつい、調子に乗ってしまう。
「本当に?一緒に住んじゃう?(笑)」
「え〜憲一さん、彼女とかいそう…って、距離近いですよ」
気がつけば僕はかなり佳奈に寄っていたようで、慌てて体を離す。
「ごめんごめん。今は本当にいないよ。半年前に彼女が出て行って以来、完全にフリー」
「なんで出て行ったんですか?」
「なんでだろう…。自由にさせすぎたのかな。カードとかも渡していたし」
「すごい」
「俺さ、もう結婚したくて」
「結婚願望あるんですね。最高じゃないですか」
最近気がついたけれど、「結婚願望がある」と言うと、女性の反応が変わる。特に佳奈は今年で30歳と言っていたので、ちょうど刺さったのかもしれない。
この日は1軒目で解散となってしまったけれど、翌日、佳奈を食事に誘うと、OKとの返事が来た。
Q2:デート中に女が冷静に見ていた点は?
佳奈とのデートは、今年の春にオープンしたばかりの『アルギュロス』を予約することにした。コンテンポラリーキュイジーヌが楽しめる新店は、まだ佳奈も行ったことないお店だろう。
もちろん佳奈は想像通り喜んでくれて、嬉しそうにしている。
「このお店、知り合いから聞いて。気になっていたんです♡憲一さんって、グルメなんですね」
「そうだね。美味しいご飯を食べるのが好きで」
「毎日外食ですか?」
「そうなるね〜。最近太っちゃったから、本当は控えたほうがいいのかもだけど」
30歳を過ぎると体重が落ちづらくなり、最近お腹周りにしっかり肉がついてきてしまった。
「佳奈ちゃんは、スタイル素晴らしいけど何かしてるの?」
「最近はピラティスに通っています。と言っても、週に一度とかですけど」
「だからそんなにスタイルいいんだね〜」
「憲一さんは?何か運動されているんですか?」
「パーソナルに週一で行ってるけど、追いつかないね」
「でも美味しいご飯をお腹いっぱいに食べることって、幸せですよね」
「そうなんだよ!」
そんな話を続けながら、僕たちのデートは楽しく進んでいく。食事も美味しいし、話したいしで僕は忙しい。見た目も美しい逸品に、思わず感嘆の声が漏れる。
「すごいですね、ここ」
「でしょ?良かった、佳奈ちゃんが喜んでくれて」
興奮して、思わずフォークですくった鮑をもう一度皿に落としてしまった。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。でもさ、佳奈ちゃんがこの前の食事会の中で一番可愛かったよね」
「そうですか?嬉しい」
「どんな人がタイプなの?」
「私は…優しくて、人の話をちゃんと聞いてくれる人が好きです」
一応、全部当てはまっている。優しいと思うし、人の話も聞く。
「僕ってこと?」
遠回しに、佳奈は僕のことを言っているのだろうか。だとしたら、これはかなり脈アリだ。
「そうですね(笑)」
「前の彼女に何でもしてあげていたし、優しい部類に入ると思うんだよね」
「優しそうですよね。ところで憲一さんって、今おいくつでしたっけ?」
「僕は今年で38歳だよ」
「そうなんですね」
「『若く見える』ってよく言われるんだけど、実際は結構年齢いってるんだよね」
「38歳なんて、全然若いじゃないですか!」
「嬉しいな」
食事が進むにつれて、佳奈の気持ちもこちらに傾いてきているようだ。手応えを感じたので、僕はもう少し椅子の距離を詰めることにした。
しかしその途端。佳奈は逆に椅子を反対方向へ引いてしまった。
― あれ?嫌だったかな。
そう思ったので、慌てて椅子を元の位置に戻す。しかしそこからまた普通のテンションに戻り、何事もなくデートは終わった。
「美味しかったね。この後、どうしようか」
「ご馳走さまでした。今日は、私は帰ります」
あまりにもハッキリと言われ、僕は頷くことしかできない。
「そ、そうだよね。またね」
「はい、また」
こうして佳奈は颯爽と夜の西麻布へと消えていった。
もちろん、この後佳奈からの連絡はないし、デートもしていない。果たして、何がダメだったのだろうか…。
▶前回:「夜景の見えるレストランを予約したのに…」お台場デートの後、30歳女の態度が急変したワケ
※公開4日後にプレミアム記事になります。
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:8月18日 日曜更新予定
食事会の時点で、勝負は決まっていた!?