ハマり役!(映画公式サイトより)

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 8月9日公開の映画「ブルーピリオド」で主演を務める眞栄田郷敦(24)が話題だ。監督の萩原健太郎氏が「鳥肌ものだった」と漏らすほど、迫真の演技を魅せたというが、それも納得――。郷敦を知る父・千葉真一(享年82)の友人らの間では「役とゴードンの半生がリンクしていて驚いた」との声が上がっているのだ。

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「ブルーピリオド」は累計発行部数700万部を超える人気漫画(原作・山口つばさ氏)を実写化したもので、郷敦が演じるのは主人公の矢口八虎。“生きてる実感”の持てない高校生の矢口が「1枚の絵」をキッカケに“絵を描く”ことの楽しさに目覚め、国内最高峰の東京藝術大学を目指して奮闘する青春ムービーだが、

「映画のキャッチコピーは〈情熱は、武器だ〉。主演の郷敦だけでなく、美術部の仲間として登場する高橋文哉や桜田ひよりといった注目の若手俳優たちの熱演も見どころのアツい青春群像劇に仕上がっている。郷敦は1カットごとに監督と話し合う力の入れようで、『この撮影は本当に苦じゃなかった。(この映画に)思い入れがすごくあるんじゃないか』と撮影後の取材で語っています」(映画ライター)

 実は郷敦も「絵」ではないが、高校時代に「音楽」に没入していたことで知られる。

ハマり役!(映画公式サイトより)

「中学入学を機に日本に帰国するまで、ゴードンはアメリカで暮らしていました。そのアメリカ時代にサックスを吹く授業を受けた経験があったことから、京都の中学校に入学すると吹奏楽部に所属。高校は母親にみずから『行きたい』と言って、岡山県にある吹奏楽部の強豪校に進学した。親元を離れての下宿生活を送りながら、時に1日12時間以上も練習するなど、高校3年間は“音楽漬け”の日々を送っていました」(千葉の古くからの友人)

「ボクは天才じゃない」

 将来はプロのサックス奏者を目指し、演じた矢口と同じ東京藝術大学を受験するも不合格に。ところが藝大に落ちたことが俳優の道へと進む転機につながったという。

「高校を卒業後、明確な進路が定まっていなかったゴードンはたまたま兄の(新田)真剣佑が出演する映画の試写会に行き、そこで予想もしていなかった映画への出演オファーを受け、デビューへと至ります。それまで役者という仕事に興味のなかったゴードンですから、藝大に進んでいたら試写会に足を運ぶこともなかったと言われている」(同)

 その後は「兄の背中」を追いかけるように俳優としてのキャリアを重ねた郷敦だが、いまやハリウッドでも活躍する真剣佑について、「やっぱりスター気質で天才」「僕はそういうのがないので憧れる」とインタビューに答えたこともあった。

「郷敦は原作者である山口氏との対談で『努力が才能に勝てるかというと、そうでもなかったりしますよね。でも努力して積み重ねてきた人にしか出せない表現や魅力もきっとあるはず』と話し、『僕自身、才能があるというよりも、日々を積み重ねていくタイプ』と自己分析しています。これまで“兄のような華やかさはない”と評されることもあった郷敦ですが、その分、演技力には定評があり、本格派俳優としての将来が期待されている」(前出・映画ライター)

熱量は「父親とソックリ」

 今回の映画では、絵を描くシーンに吹き替え(代役)は一切使用しておらず、実際、郷敦はクランクイン前に行われた絵画練習の初日、「6時間ぶっ通し」でレッスンに没頭したという。その熱量は、指導に当たった美術学院の講師が「この調子で頑張れば、本当に藝大に受かるんじゃないか」と驚くほどだったとか。

 父・千葉真一も「玄人級」の油絵を描くことで知られたが、実は千葉が絵画に開眼するキッカケをつくったのは郷敦だという。

「ゴードンが高校時代、絵の非常にうまい友だちを千葉さんのもとに連れて来たことがあった。その友だちの描いた絵がまるで“写真”と見紛うような精緻なもので、感銘を受けた千葉さんはソレを機に、みずからも筆を執るようになった。試写会を訪れた知人の一人は、映画でゴードンが見せる絵画への没入ぶりが“在りし日の千葉さんを想起させるようだ”と感慨深げに話していました」(前出・友人)

 ハマり役を得て、俳優としてさらなる成長を遂げる息子を千葉はどう見ているか。

デイリー新潮編集部