泉谷星奈、倉田瑛茉、竹澤咲子、永尾柚乃 “次の芦田愛菜”となる天才子役たち
現在のテレビドラマは高い表現力を持った子役が多数活躍しており、安達祐実や芦田愛菜に匹敵する天才子役がいつ爆誕してもおかしくない状態となっている。
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最有力候補は『海のはじまり』(フジテレビ系)に出演している泉谷星奈だろう。
●泉谷星奈
『海のはじまり』は月9(フジテレビ系月曜21時枠)で放送されている生方美久脚本のドラマだ。20代後半の青年・月岡夏(目黒蓮)が、大学時代に別れた元恋人の南雲水季(古川琴音)が一人で育てていた自分の娘と父親として向き合っていく姿を描いた物語で、泉谷は、水季の娘・海を演じている。
泉谷は生方美久が昨年執筆したドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)で、今田美桜が演じる美容師の深町夜々の幼少期の姿を演じ、今田とそっくりだと話題になった。
現在は7歳だが、0歳の時からタレント事務所に所属している。テレビドラマの出演作は多く、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、『鎌倉殿の13人』といった数々の話題作に出演している。フォトジェニックな愛くるしさが最大の武器だろう。
『いちばんすきな花』では今田美桜、『厨房のありす』(日本テレビ系)では門脇麦が演じた演じるヒロインの幼少期の姿を演じたが、このまま成長すると彼女たちの系譜に連なる役者になるだろうと予感させる将来性がある。
これまでは主演女優の幼少期の姿やゲスト出演が多かったが、『海のはじまり』は主人公の娘役というレギュラー出演となっている。目黒蓮、有村架純、大竹しのぶ、池松壮亮といった俳優が最高の芝居を見せる中、一歩もひけをとらない芝居を見せており、もう一人の主人公と言っても過言ではない存在感を示している。
今のところ彼女の役割は、物語の重たい空気を和らげる一服の清涼剤といった感じで、子供らしい無邪気な振る舞いや父親の夏に対して全幅の信頼を寄せてぐいぐいと距離を詰めてくる姿が作品の救いとなっている。その意味で、子役に求められる期待に完璧に応えていると言えるだろう。
とは言え、繊細な心理描写に定評のある生方ドラマである。海の内面も今後さらに掘り下げられる可能性は大きい。その時、泉谷がどんな芝居を見せてくれるのか楽しみである。
●倉田瑛茉
一方、現在『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)に出演している倉田瑛茉は、『下克上球児』(TBS系)に続いて2作目のドラマ出演だが、本作で一気に天才子役の座に躍り出そうな気配がある。
本作は、アプリ制作会社でプロダクトマネージャーとして働く西園寺一妃(松本若菜)が、天才エンジニアでシングルファーザーの楠見俊直(松村北斗)の家族と同居することになるハートフルラブコメディ。倉田は楠見の娘・ルカを演じている。
ルカはマイペースで覇気がなく、あまり愛想がよくない子供だが、その覇気のなさが逆にかわいくて目が離せない。テンションが低い必要以上に感情を露わにしない静かなトーンの芝居は今のテレビドラマのトレンドだが、それは子役にも当てはまるのだろう。その意味で倉田の必要以上に子供らしく振る舞おうとしない演技こそが、今後の子役の演技のスタンダードになる可能性も大きいのではないかと思う。
●竹澤咲子
覇気のない子供というと、NHK連続テレビ小説『虎に翼』で主人公の寅子(伊藤沙莉)の娘・優未を演じている竹澤咲子の芝居も印象に残る。
優未は家庭裁判所で働く優秀な母親である寅子の前で萎縮してしまい、良い子として振る舞うことが内面化されてしまっている娘だが、寅子の話を聞いている時の「スンッ」とした表情と寅子がいない時に家族の前で見せる無邪気な笑顔のコントラストが素晴らしかった。本音と建前を使い分けるというのは演技の基本だが、優未が良い子を演じているの時に心が死んでる状態を竹澤は微妙な表情で表現しており、高度な芝居をしていると感心する。竹澤は現在9歳で『おとなりに銀河』や大河ドラマ『光る君へ』といったNHK作品の出演が続いているが、今後もNHKドラマの常連とキャリアを積んでいくのではないかと思う。
●永尾柚乃
最後に触れておきたいのが、SPドラマ『ブラック・ジャック』(テレビ朝日系)でピノコを演じた永尾柚乃だ。
ピノコは無免許医のブラック・ジャック(高橋一生)に同行する赤い服を着た幼女で、複雑な出自を持つキャラクターだ。手塚治虫の同名漫画をドラマ化した本作は手塚漫画のテイストを踏まえた上で現代的な物語に仕上がっていた。中でも一番漫画らしさを体現していたのがピノコで、漫画通りの拙い口調や「アッチョンブリケ」と言って両頬に手を当てて変顔をする有名なシーンも忠実に再現している。漫画のキャラクターを実写作品で演じることは大人の俳優でも難しいのだが、永尾の演じるピノコは漫画からそのまま出てきたのかと思わせる完璧な仕上がりだった。
リアルな芝居ができる子役は増えているが漫画的な芝居ができる子役は少ないため、これから漫画原作の作品で引っ張りだことなるのではないかと思う。
(文=成馬零一)

