クラシック倶楽部トップページより

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国内外の一流演奏家のリサイタルをお送りするNHK BSの『クラシック倶楽部』。7月2日は「越境する音楽家たち」をテーマに、鍵盤楽器奏者のアンソニー・ロマニウクとフルート奏者の柴田俊幸による合奏シーンなどを放映した。

2人の演奏について、Xでは《多才な2人のやり取りに引き込まれました》《自由で楽しく音楽の喜びで満ちていた》《越境する音楽 いいね》などの声が上がり、視聴者は大満足の様子。

そんななか現在、番組のあるシーンがXで注目を集めている。番組では「音楽の父」こと作曲家のヨハン・ゼバスティアン・バッハ名言を取り上げた。その名言とは、こういったものだった。

《音楽は世界共通語であり 翻訳される必要がない 魂が魂に働きかけるのだ》

ところが、このバッハ名言に対してXでは、この名言バッハのものではなく「1865年に出版された作家・Berthold Auerbach(ベルトルト・アウアーバッハ)による小説『Auf der Höhe』の一節だ」と指摘する声が上がったのだ。

実際、『Auf der Höhe』の英語訳版『ON THE HEIGHTS』には《“music is the universal language, the only one that requires no translation, and in which soul speaks to soul.”》と『クラシック倶楽部』でバッハ名言として紹介された一節と同様のフレーズがある。作曲家のバッハ作家のアウエルバッハを間違えた“バッハ違い”なのだろうか――。

そこで、本誌はNHK広報局に“バッハ違い”の見解を尋ねた。すると、回答はこうだった。

「お問い合わせいただいた件について、以下のとおりお答えします。番組の中で、作曲家バッハの言葉として引用した文章は、正しくは、ドイツ作家ベルトルト・アウエルバッハの小説『アウフ・デア・ヘーエ(Auf der Höhe)』の一節でした。番組制作班の確認が不十分でした」

また回答後、番組の公式サイトにも同様の謝罪文が掲載された。今頃2人のバッハも、胸をなでおろしていることだろう。