ChatGPTなどの生成AIの活用法は非常に幅広く、指示次第で自分では思いつかない新商品のアイデアを出してもらったり、新商品に関する企画書を作ってもらうことも可能です(写真:KT Stock/PIXTA)

ChatGPTは、指示次第で自分では思いつかない新商品のアイデアを出してもらったり、新商品に関する企画書を作ってもらうことも可能です。生成AIの活用を教えるデジタルハリウッド大学教授の橋本大也氏に、有料版のChatGPT Plusの利用法を解説してもらいます。

※本稿は橋本大也著『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』から一部抜粋・再構成したものです。

ChatGPTに新商品の開発を手伝ってもらう

ハーバード・ビジネス・レビュー(2023年9月号)』に、生成AIの研究者たちによる「生成AIは人間の創造性をどのように拡張するのか」という興味深い記事が載っていました。

ここでは、その記事ですすめられていたChatGPT活用法を1つ紹介しましょう。

それは、ChatGPTにランダムに2つのキーワードを挙げさせた後、ユーザーがそれらと関連の薄いキーワードを1つ指定して、3つのキーワードをもとにユニークな製品を考案させるというものです。

<プロンプト>
ランダムな2つの単語を提案し、私に3つめの単語を質問してください。そして回答を受け取ったら、3つの単語を使って画期的な新商品を発想し、プレゼンしてください

とリクエストしてみました。

[User]ランダムな2つの単語を提案し、私に3つめの単語を質問してください。そして回答を受け取ったら、3つの単語を使って画期的な新商品を発想し、プレゼンしてください

[GPT]了解しました。それでは、ランダムな2つの単語として、「ロボット」と「音楽」を提案します。あなたが思い浮かべる3つめの単語は何でしょうか?

[User]ウナギ

[GTP]ありがとうございます。それでは、「ロボット」、「音楽」、そして「ウナギ」を組み合わせた新商品を考えてみましょう。

すると、このように「ロボット」「音楽」という単語を提案してきたので、私は「ウナギ」と答え、「ロボット」「音楽」「ウナギ」の単語を組み合わせた新商品を考えてもらいました。

[GTP]新商品の名前は「Eelody」です。これは、ウナギ(Eel)とメロディ(Melody)を組み合わせた造語で、その名の通り、ウナギと音楽、そしてロボット技術を融合した革新的な商品です。

「Eelody」は、ウナギのように滑らかで柔軟な動きをするロボットで、その動きに合わせて音楽を奏でるという、まったく新しいタイプのエンターテインメントロボットです。

その独特な絵と動きを活かして、教育やリハビリテーション、さらにはパフォーマンスアートなど、さまざまな場面で活用することができます。たとえば、子どもたちに音楽や科学への興味を喚起する教材として、または身体のリハビリテーションに役立つ運動の一環として、あるいは新しいタイプのパフォーマンスアートとして、その可能性は無限大です。

さらに「この商品を絵にして」でDALL-Eでウナギロボットの絵を描かせました。「キャッチコピーを書いて」で出力した文章と横に並べてみます。


『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』P97より

なかなか魅力的な製品の企画ではないでしょうか。こんなふうにブレインストーミングを続けていけば、リアルの企画会議で選ばれるものができそうです。

新製品の企画書を書いてもらう

ChatGPTを使えば、企画書の草案もあっという間に作成できます。

たとえば、あなたが食品メーカーで新商品開発を担当しているとしましょう。以下のようにリクエストするだけで、企画書を作ってくれます。

<プロンプト>
新商品「激辛えびせんべい」の企画書を作成してください

[User]新商品「激辛えびせんべい」の企画書を作成してください

[GPT]【企画書】
新商品「激辛えびせんべい」の企画書

1. はじめに
私たちは、辛い食品が人気を集めている現在の市場トレンドに注目し、新商品「激辛えびせんべい」を開発することを企画しました。この企画書では、商品の概要、市場分析、商品の特徴、販売戦略などを詳細に説明しています。

2. 商品の概要
「激辛えびせんべい」は、辛味とえびの風味が絶妙に調和した、おいしさと辛さを追求したスナック菓子です。辛さ好きな消費者層にアピールすると同時に、一般の方々にも新たな味覚体験を提供することを目指しています。

ここでは、「1. はじめに」という見出しを立てて、「私たちは、辛い食品が人気を集めている現在の市場トレンドに注目し、新商品『激辛えびせんべい』を開発することを企画しました……」といったように、もっともらしい企画趣旨の文章を作成してくれています。

実は、私は「激辛えびせんべい」について何も考えないまま「企画書を作成してください」と指示していたのですが、ChatGPTのほうがいろいろと考えてくれるのです。

[User]新商品「激辛えびせんべい」の企画書を作成してください

江の島産えび使用、メキシコ直輸入のハバネロを使用、辛い物好きに挑戦するテレビ番組「うきうきサンデーで取り上げられた」、若者向けのキャッチコピーで

[GPT]【企画書】
商品名: 激辛えびせんべい

1. 概要「激辛えびせんべい」は、江の島産の新鮮なえびとメキシコ直輸入のハバネロを使用した、辛さ満点のお菓子です。この商品は辛い物好きの方々に挑戦を呼びかけ、舌と胃袋を刺激する新感覚の味わいを提供します。さらに、テレビ番組「うきうきサンデー」で取り上げられる予定であり、その影響力を活用して若者を中心に幅広い層に訴求することができます。

2. 特徴 2.1 厳選した江の島産えびの使用:江の島は新鮮な海の幸が豊富で知られており、その中でも特に美味しいと評判のえびを使用します。高品質のえびは風味豊かで、商品の味わいを一層引き立てます。

このように、ChatGPTは作文がとても得意なわけですが、これを使っていくうえでとても重要な概念があります。

それは、このように詳細な情報を与えたり、具体的な例を挙げて指示をすると、より満足のいく回答をしてくれるということです。

フォーマットを提示して企画書を作成してもらう

ChatGPTに企画書を作ってもらう際のポイントは、フォーマットを指定することです。具体的なフォーマットを指定し、それを埋めてもらうようにすると、より精度の高いアウトプットが得られて、手直しが少なくて済みます。

ここでは、自分が作ってほしい企画書のフォーマットを提示したうえで、「AI英会話メイト」というタイトル、「いつでも話せる、楽しく学べるAIとの英会話体験」というキャッチコピーをもとに、アイデアを企画書化してもらいました。

[User]以下のフォーマットでこのサービスの企画書を作成してください
1. タイトル わかりやすく
2. サブタイトル(気になるキャッチフレーズ)
3. 背景 どのようなニーズ、トレンドがある?
4. 目的 何をすべきなのか
5. 提案 何ができるのか
6. スケジュール どのように進めるか
7. 体制 実行にあたって十分な能力があるか
8. 課題 実現にあたってどのような課題がありどう対処するか

[GPT]企画書:

1. タイトル:
AI英会話メイト

2. サブタイトル(気になるキャッチフレーズ):
「いつでも話せる、楽しく学べるAIとの英会話体験」

3. 背景:
近年、グローバル化が進み、英語の重要性がますます高まっています。しかし、多忙な現代の生活や限られた時間の中で効果的に英語を学ぶことは容易ではありません。

また、従来の英会話教室では時間や場所の制約があり、個々の学習ニーズに合わせたカリキュラムや教材が提供されることも少ないという課題があります。

このようなニーズと課題に対応するため、AI英会話メイトを提供することで、個別の学習スタイルに合わせた柔軟な学習環境を提供します。

4. 目的:
当社の目的は、利用者がいつでも気軽にAIとの英会話を楽しみながら効果的に学ぶことができる環境を提供することです。具体的には、以下の目標を達成します。

- 利用者がAIキャラクターとの対話を通じて、自信を持って英語を話せるようになること。

- 利用者の発音、語彙、文法のスキルを診断し、改善することで、総合的な英語力の向上を図ること。

- 英検やTOEICなどのテスト対策を提供し、利用者の目標達成をサポートすること。

5 提案:
- オンラインAI英会話サービスを提供し、利用者が自分のペースで学べる環境を提供します。

- 人気キャラ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜途中;省略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

すると、上記のような提案をしてくれます。

使い方次第で仕事にも大いに役立てることができる

これを人間相手に何十回も繰り返させるとパワハラになりますが、ChatGPTであれば、何十回繰り返してもまったく問題ありませんので、その中から、よい提案があればそれを採用すればいいわけです。

このように、ChatGPTやCopilotは使い方次第で仕事にも大いに役立てることができます。ぜひ試してみてください。


(橋本 大也)