天皇賞(春)はシーザリオの孫がワンツーフィニッシュ 勝敗を分けたのは母父から受け継いだ“成長力”
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る天皇賞(春)
【Pick Up】テーオーロイヤル:1着
1着テーオーロイヤルの父はリオンディーズ、2着ブローザホーンの父はエピファネイア。いずれもシーザリオの息子です。長距離適性はエピファネイアのほうが長く、産駒の平均勝ち距離は1815m。リオンディーズは1660mです。
リオンディーズ産駒は、2歳戦を除けばマイラー寄りの中距離タイプがスタンダードで、2000mを超えると活躍馬が減っていく、という傾向が見られます。テーオーロイヤルが長距離で活躍したのは、母方にロベルト系のクリスエスが入ることによりスタミナが強化された影響でしょう。母メイショウオウヒの半弟メイショウカドマツは、マイラー型種牡馬ダイワメジャーの仔であるにもかかわらず、アルゼンチン共和国杯2着、ダイヤモンドS3着などの成績があります。
「母の父マンハッタンカフェ」は、ドイツ血統が優れた影響を及ぼしているのか、タスティエーラ、テーオーケインズ、メイショウハリオ、ペプチドナイル、ソウルラッシュ、セラフィックコール、ミスニューヨークなど、芝・ダートを問わず多くの活躍馬が誕生しています。2024年ブルードメアサイアー(母の父)ランキングは現在第3位。じわじわと成長して高齢でも頑張るものが目立ちます。
テーオーロイヤルは骨折による1年のブランクがあったものの、復帰後は能力が低下するどころかむしろ上昇していました。今回の勝利はそうした成長力の賜物でもあったと思います。6歳馬の優勝は2015年のゴールドシップ以来9年ぶりでした。
◆血統で振り返る青葉賞
【Pick Up】シュガークン:1着
名馬キタサンブラックの半弟です。父はブラックタイドからドゥラメンテに替わりました。
母シュガーハートは、キタサンブラックのほかに、すでに中日新聞杯2着のショウナンバッハ、ダイオライト記念2着のエブリワンブラックを出しています。さらにシュガークンを出したことで、素晴らしい活力を秘めた繁殖牝馬であることをあらためて印象づけました。
ドゥラメンテ産駒は東京芝2400mで連対率32.8%。2014年以降、当コースで産駒が20走以上した35頭の種牡馬のなかでナンバーワンの成績です。2位が27.8%なので数値的に突出しており、スターズオンアースとリバティアイランドがオークスを勝っているように重賞実績も優秀。青葉賞の舞台設定はシュガークン向きだったといえます。
次走の日本ダービーに関しては、皐月賞組のレベルが高いので、そう簡単ではないでしょう。ただ、キタサンブラックも3歳春の時点で歴史的名馬だったわけではありません。シュガークンにも大きな伸びしろがあるはずです。