このように証券ディーラー職は腕があれば半端なく稼げる職種です。私自身、20代後半からディーラー職になり、30代に入った頃には資産1億円は超えていたと思います。しかし、給与で得たお金には所得税がかかります。当然、最高税率の45%が適応されるので……一番給与が良かった年は年間7億円の給与でしたが、半分は税金で持っていかれていましたね。正直、「これが個人の運用益だったらもっと税金が安いのに」と思ったものです。

しかし、証券ディーラーは実際に仕事で取引している株の情報があるので、個別株の売買が制限されています。具体的には、ディーラーとして投資する銘柄には個人での投資が禁じられています。なので、証券ディーラー時代は長期的に保有する目的で、会社の許可を取り仕事では関連しない銘柄を取引していたりしました。

◆現在は信用取引も含めて70億円を運用中

結果的に証券ディーラーを辞めたときには手元に10億円もの資産が貯まっていました。そして、その資金を元手に現在は個人投資家という立場になっています。

今、証券口座に入っているのは23億円ほどです。信用取引も用いて50億円ほど運用しているので、トータルでは70億円くらいを運用している計算になるでしょうか。

個人投資家になってからはまだ数年ですが、ここ2年だけでも10億円ほど資産を増やせました。今は個人投資家にとってはかなりチャンスの多い相場環境になっていると思いますし、SNSを見ていても株式投資への熱の広がりを感じますね。

そんな個人投資家に元証券ディーラーの私からアドバイスを送るとすれば、「相場から退場しなければならなくなる可能性があるようなポジションは取るな」ということです。生き残り続けていれば、いずれ来る大きなチャンスをものにできるでしょう。私もそうやって、15年間も証券ディーラーの世界で生き残り続けてきましたから。(全3回/1回目)

<取材・構成/上野智(まてい社)>

―[資産[10倍]にする投資術]―

【個人投資家 ヤマモト】
元証券ディーラー出身。株式投資歴15年で資産は約25億。日本株の中長期トレードを得意とする。Xは(@traderyamamoto)