コートジボワール・アザグイエの養殖場で飼育されているカタツムリ(2023年11月23日撮影)。(c)Issouf SANOGO / AFP

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【AFP=時事】西アフリカのコートジボワールで、最大で体重500グラム、体長10センチほどまで育つ巨大カタツムリの養殖が一大産業になりつつある。

 カタツムリは同国含むギニア湾(Gulf of Guinea)諸国でごちそうとして食べられており、粘液や殻は化粧品に使われている。

 だが、世界有数のカカオ生産地であるコートジボワールでは、森林の大部分が農地に転用され、60年で90%近くが失われた。さらに農薬の広範な使用と相まって、野生のカタツムリの生息地は破壊された。

 野生の数が減少する中、カタツムリ専門の養殖場が相次いで開業。その数は、湿度の高い南部だけでも約1500軒に上る。

 経済の中心地アビジャン(Abidjan)の北約40キロに位置するアザギエ(Azaguie)の養殖場には、レンガとセメントで作られた容器が約10個あり、上には網を張ったふたが置かれている。

 中には土と葉が敷かれており、若いものから繁殖可能な個体まで数千匹のカタツムリが飼育されている。2日に一度、水を掛け、餌を与える。

■野生も養殖も「同じ味」

 森で採った野生のカタツムリの方が味が良く、養殖物は食べないというこだわりのある人もいる。

 だが、カタツムリの生産・加工・販売大手「コートジボワール・エキスパティーズ・エスカルゴ(CIEE)」の創設者兼代表のベルニュス・ブリュー氏は、野生のものと養殖のものに味の差はないと強調した。同社のキャッチコピーは「同じカタツムリ、同じ味」だ。

 CIEEの従業員アレクシス・ファミーさんは、養殖場では「熱帯雨林の自然環境を再現し、カタツムリは葉と果物、野菜、トウモロコシ、キビ、大豆しか食べない。農薬は一才使わず、完全にオーガニックだ」と話した。

 6年前に設立されたCIEEは現在、50軒の養殖・加工工場を持ち、75人を雇用している。さらに、毎月約200人の新規参入希望者に研修を行い、養殖事業の立ち上げ支援を行っている。

 研修参加者の多くは自分の養殖場を設立するか、組合と契約を結ぶ。

 現在約2万5000軒の養殖場があるが、業界全体で今後数年で10万軒まで増やすことを目指している。

■生産量は増加の一途

 アザギエにある約30の養殖場の一つを経営するジャンノルベール・アケセさんはかつてアビジャンで働いていたが、CIEEの研修を終え、200万CFAフラン(約50万円)を投じ、2021年に養殖事業を立ち上げた。

 アケセさんは笑顔で「もうかる」と話した。

 現在は年1200万CFAフラン(約300万円)の利益を得ている。最低賃金が月収わずか7万5000CFAフラン(約1万9000円)のコートジボワールでは、十分以上だ。

 アケセさんは生産した全カタツムリをCIEEに卸している。

 政府によると、カタツムリの生産量は5年で月25トンから250トンまで激増した。

■粘液や殻も全部使える

 ブリュー氏はカタツムリには捨てるところがないと話した。

 粘液は石けんやシャワージェル、軟こうに利用され、殻は化粧品や家畜の餌の原料となる。

 化粧品製造責任者によると「カタツムリの粘液は保湿効果がある。老廃物を落とし、アンチエイジング作用もある」と強調した。

【翻訳編集】AFPBB News

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